日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)が会員社の顧客企業や一般のユーザー企業を対象に調査を行い、12月5日に中間報告を行った。この中でWindows 10の普及状況や満足点・不満点といった実態が浮き彫りになった。
調査は9~10月に行い、従業員350人以下の750社(一般企業)とJCSSA会員社の顧客で従業員2000人以下の151社(ユーザー企業)が回答した。回答者はITシステム導入関与者でITシステム全体の状況を把握する社員と管理者および役員としている。
まず回答企業が保有するPC全体に占めるWindow 10の割合は、ユーザー企業では前年の3%から11%に、中規模(従業員21~350人)の一般企業では24%から38%に、小規模(従業員20人以下)では29%から42%にいずれも上昇した。回答企業全体に占めるWindows 10導入済み企業の割合は、ユーザー企業で19ポイント、中規模一般企業で17ポイント、小規模一般企業で15ポイント増えた。
Windows 10導入済み企業の比率の変化(出典:JCSSA)
2020年1月14日にサポートが終了するWindows 7の割合は、一般企業でこの1年間に7~9%減少したものの、ユーザー企業では変化がなかった(前回・今回とも84%)。ユーザー企業ではWindows XPの割合が7%減少していた。JCSSAは、一般企業でWindows 7からWindows 10への移行が進み、ユーザー企業ではWindows XPからWindows 10への移行が進んだと分析する。
Windows 10を導入していない企業の今後の意向では、導入予定があるユーザー企業が28%、中規模一般企業が20%、小規模一般企業が14%で、検討中を含めても半数前後は導入しない意向であることが分かった。導入しない理由は、ユーザー企業では「検証が間に合わない」(59%)や「今のOSに不満がない」(43%)、「変える必要性を感じない」(39%)、「新しい機能やインターフェースが使いづらい」(33%)などの意見が目立つ。
Windows 10の導入予定がない理由(同)
一般企業も似た傾向だが、ユーザー企業との違いでは「ハードウェアが対応していない」「予算承認が下りない」「Windows 10の悪い評価を聞く」「勝手に機能更新されるのが困る」といった理由も多く挙げられた。JCSSAは、「更新するだけの魅力がWindows 10にないのだろう」と分析している。
Windows 10導入済み企業における評価として、良い点には「起動・シャットダウンが速くなった」を挙げる企業が多く、一般企業では「画面構成が見やすくなった」「直感で操作しやすくなった」も目立った。一方で悪い点には「以前のWindowsから操作性が変わった」が挙げられ、特にユーザー企業では「画面構成が見づらくなった」、一般企業では「細かい設定ができなくなった 」の声が目立つ。ユーザー企業からはOSの安定性やWindows Updateの品質に対する不満も寄せられた。
導入済み企業に聞いたWindows 10の良い点(同)
導入済み企業に聞いたWindows 10の悪い点(同)
Windows 10では、バージョンによって機能更新の間隔やサービス期限が異なるモデル(Semi-Annual ChannelやCurrent Branch for Business、Long-Term Servicing Branchなどと呼ばれる)が適用されているが、Windows 10導入済み企業の半数以上がこうしたモデルを「知らない」と答えた。
この調査の最終報告は2018年3月を予定している。