海外コメンタリー

脚光を浴びつつある関数型プログラミング

Amanda LeClair Michael Facemire (Forrester Research) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-01-17 06:30

 Forrester Researchは2017年12月に関数型プログラミングに関するレポート「The New Dawn Of Functional Programming」(関数型プログラミングの新たな夜明け)を発表した。関数型プログラミングは新しいコンセプトではないが、ITプロフェッショナルにとって、「関数を第一級オブジェクトにする」という考え方は、向こう18カ月のうちに避けて通れないものになろうとしている(既にあなたのレーダーに捕捉されていなければの話だが)。とはいえ、関数型プログラミングは一部の先進的な開発者にとってさえも難解なコンセプトだ。本記事では関数型プログラミングについて知っておくべきことを解説する。


提供:Zinkevych, Getty Images/iStockphoto

関数型プログラミングとは何か?

 関数型プログラミングはプログラミングパラダイムの1つだ。簡単な言葉で説明すると、手続き型プログラミングはソフトウェアに対して「何かを行う際の方法」を伝える一方、関数型プログラミングはソフトウェアに対して「何を行うのか」を伝える。これは、今日のほとんどのコードが記述されている方法を土台から覆すものであり、新たなスキルセットやプログラミング言語、アーキテクチャとともに、ソフトウェアの動作形態に対する哲学的アプローチを要求する。

 関数型プログラミングと混同してはいけないもの:「サービスとしての関数」(FaaS)という言葉がある。これには、関数型プログラミングと同様に「関数」という言葉が含まれているとはいえ、共通点はそれだけだ。関数型プログラミングモデルを用いてサーバレス実装を構築できるが、サーバレスというもの自体がそれを推奨したり、要求したりするわけではない。

なぜ関数型プログラミングに着目する必要があるのか?

 顧客とのやり取りが必要となるソフトウェアの世界は、ステートフルなオブジェクト指向開発の手には負えなくなってきている。そして、「Amazon Alexa」といった、環境に溶け込むような対話型のユーザーインターフェースが登場したおかげで、直感的で素晴らしい顧客エクスペリエンスを求める水準が高くなってきている。企業は関数型プログラミングによって、こうしたエクスペリエンスを多くの人々に送り届けるための、コンピュートパワーのより優れた活用法や、適切なアウトプットをもたらすためのより柔軟な方法、顧客価値をもたらすより効率的な手段を実現できるようになる。また関数型プログラミングによって、コードのデグレードを低減するとともに、コードの作成やメンテナンスを簡素化し、コードの再利用性を高められるようになる。

 1990年代半ばのインターネットブーム黎明期において、手続き型プログラミングの持つ制約に対する解決策としてオブジェクト指向プログラミングが登場した。関数型プログラミングはそれと同様に、今日におけるオブジェクト指向プログラミングの制約に対する解決策として注目を集めつつある。そしてこのパラダイムシフトは既に始まっている。世界の開発者のうち53%は、自社内に少なくとも関数型プログラミングを実践する何らかのチームが存在しており、その利用を拡大する計画もあるとしている。

次になすべきことは?

 ただ、オブジェクト指向プログラミングの時とは異なり、多くの企業がすべてを一気に関数型プログラミングに変えるということにはならないだろう。こういったシフトはすぐに起こるものではなく、オブジェクト指向開発者にとって直感的なものともならない。しかし、関数型プログラミングはダイナミックかつスケーラビリティにあふれる次世代のエクスペリエンスを構築する手法の土台となる。その導入に向けた最初のハードルは低いため、今から手を付け、おそらく既に社内にある初期のスキルを洗い出し、活用し始めてほしい。Scalaのようなハイブリッド言語や、Java 8の関数型機能に慣れている開発者であれば、関数型プログラミングを理解するための基礎はできているはずだ。彼らの力を借り、そのような基礎の上に成果を築き上げ続けてほしい。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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