アクセンチュアとシンガポール金融管理局(MAS)、シンガポール銀行協会(ABS)は、資金決済システムにブロックチェーン技術を適用できるかどうかを検証した。資金決済システムは、世界中でやり取りされる銀行間資金決済や資金流動性確保のための情報処理基盤。1日の取扱金額は数兆ドルに及ぶ。
MASとABSが中心となり、金融機関11行が参加して13週にわたって実施された。銀行間取引におけるプライバシーを確保しつつ、資金の流動性を節約する機能を分散型システムで実現できるかどうかを検証する。また、特定のRTGS(即時グロス決済)機能に対するブロックチェーン技術の活用を模索する。
今回の検証では、ブロックチェーン技術の「Corda」「Hyperledger Fabric」「Quorum」を使って3種類のプロトタイプを開発。その結果、RTGSに必要となるグリッドロック解消や所要流動性の節約といった機能が、分散型システムでも有効であることを確認した。
即時グロス決済は、即時性が求められる銀行間の膨大な資金決済や証券決済のこと。ブロックチェーン技術を用いることで、プライバシーが確保された取引システムを構築できることが分かった。
また、RTGSシステムにブロックチェーン技術を生かすことで日々の業務運用にかかるコストやリソースを削減する。さらに、中央銀行が単一障害点となって金融システム全体が機能不全に陥るリスクを抑制できる可能性も得られたとする。
ブロックチェーン技術に基づくシステムでは、単一障害点の排除に加え、暗号化によるセキュリティ確保、不変性、リアルタイム処理によりシステムのレジリエンス(回復力)を向上させ、銀行間の決済リスクの軽減にも寄与するとしている。