「中堅企業のIT人材不足はさらに深刻化している」
(デル 清水博 執行役員)
デルの清水博 執行役員
デルとEMCジャパン(Dell EMC)が先頃、中堅企業(従業員数100人以上1000人未満)を対象にした「IT投資動向調査」の結果と、その内容に対応したソリューションを発表した。デルの執行役員で中堅企業向け事業を担う広域営業統括本部長を務める清水氏の冒頭の発言は、その発表会見で、調査結果から明らかになった中堅企業のIT人材不足の現状を訴えたものである。
Dell EMCが今回発表した調査は2017年2月に実施した調査に続くもので、回答した760社の中堅企業の31%が情報システム担当者1人以下の体制で運営している実態が浮き彫りになった。その内訳は、いわゆる「ひとり情シス」が14%、IT専任担当者がいない「ゼロ情シス」が17%だった。31%に対し、2017年の調査結果が27%だったことから、1年で4ポイント上昇。これをして清水氏は冒頭のように語った。
中堅企業のIT人材の実態(出典:Dell EMCの「IT投資動向調査」)
また、全体の従業員数を増加する予定の企業が48%に上る一方で、IT人材の増加を予定する企業は15%にとどまることも判明。端末管理をはじめとした情報システム担当業務の負荷が高止まりする企業がさらに増加している状況が明らかになった。この点について清水氏は、「IT運用・保守が複雑になり、システムトラブルの対応にも大きな負荷がかかるため、少人数体制でも運用できるソリューションを求める声が多数寄せられている」と語った。
今回の調査では、こうしたIT人材不足のほか、「30%以上の中堅企業が直近3年間にセキュリティ事故の被害に遭遇」「IPAガイドラインの準拠は4%、CSIRT活動は1.5%のみでセキュリティ対策の遅れが露呈」「80%以上の中堅企業が働き方改革に着手」「経営者の平均年齢が若返り、IT理解度向上とともに経営とITが一体化」「クラウド(IaaS)の利用動向は昨年同様、限定的な企業の活用にとどまる」といった点が明らかになった。これらの詳しい内容は、Dell EMCが提供するソリューションと合わせて関連記事をご覧いただきたい。
Dell EMCのこうした調査は、同社にとってはマーケティングの一環だが、「ひとり情シス」の実態を明らかにして、その課題解消に努めるのは、日本企業のIT化の“底上げ”という観点からも非常に重要なことだけに、大いに注目しておきたい。