海外コメンタリー

企業が抱える「生産性パラドックス」、AIなど新技術で立ち向かうには - (page 2)

Forrester Research 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-03-15 06:30

 新たな観点でものを見るというのは、来たるべき新世界で成功するために必要なことの1つだ。CIOをはじめとするリーダーたちは、以下の3つのレベルにおいて、手がけようとするテクノロジがどのようにして問題解決に向けて従業員を支援するのかについて考える必要がある。

  1. 意思決定という文脈:まず、従業員の行動を支援する情報を提供するエクスペリエンスを設計してほしい。十分な情報に基づき、適切なタイミングで意思決定を下すというのは容易ではない。うまくできれば、テクノロジは大きな支援となり得る。スマートなソフトウェアは従業員の作業全般にわたる次善のアドバイスを提供できるように進化してきている。
  2. 作業の遂行に向けたサポート:2つ目のレベルは、マシンが仕事の一部を肩代わりする際に生み出される生産性向上だ。1960年代には、財務担当者が長時間を費やし、手作業で予算を計算していた。現在では、「Microsoft Excel」や財務ソフトウェアが面倒な作業を引き受けている。
  3. 人間が管理するマシン:最後に、マシンが作業全体を担うようになると、一部の従業員はロボットの管理者になる。RPA(Robotics Process Automation)の配備が進むにつれて、単純作業に従事していた従業員は例外的事象の処理やプロセスの改善を監督したり、ロボットをより効率的にするための訓練を担当するようになる。

 従業員の生産性をテクノロジで向上させるための適切なコンテキストを決定した後には、新たな課題が待ち受けている。その課題とは、これまで抱えていた難題の解決を支援できる新興テクノロジがどんどん生み出されているというところにある。こういったテクノロジに関する意思決定を行うには、さまざまな疑問を投げかけ、概念実証を試行する必要がある。新しいこのテクノロジはどれほど成熟しており、他社による成功事例はあるのだろうか?従業員や顧客のエクスペリエンスにどのような影響を与えるのだろうか?配備に踏み切った場合の経済面におけるすべて影響や、ビジネスケースはどのようなものになるのだろうか?

 従業員の生産性をより洗練されたツールでより高い頻度で支援するには、従業員のスキルを向上させる必要がある。このため人事部門や業務部門、テクノロジ部門のリーダーたちは、知能指数(Intelligence Quotient:IQ)や心の知能指数(Emotional Intelligence Quotient:EQ)といった指標に加えて、ロボット工学指数(Robotics Quotient:RQ)という指標を使用することになる。RQは、人間の従業員が自動化/半自動化されたシステムとともに働く際のスキルセットを測定する指標であるためだ。適応力や柔軟性が高く、新たなスマートツールを迅速に習得でき、問題解決に結びつけられる人材は高いRQを有している。そして、高いRQを有した従業員のいる企業は、低いRQを有した従業員のいる企業に比べると、売上高や利益の点で高い実績を上げるはずだ。また、RQとは何かを知らない企業であっても、さまざまな機会で訓練や学習に投資し、RQを向上させる取り組みが必要となっていくだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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