「世界には献血サービスのサプライチェーンが分断されている地域があることは理解しており、それらの組織の幹部が、さまざまな情報すべてを安全に追跡する目的で、分散台帳の利用を検討していることは知っている。英国では、献血時から提供までのプロセス全体を管理していることから、そういった問題は少ない」(Powell氏)
5.未来へ向けてのデジタルプラットフォームの構築
ロンドンの病院財団St Helens & Knowsley Teaching Hospitals NHS Trustの情報担当ディレクターChristine Walters氏は、日常的な業務を改善するためにテクノロジを利用している。Powell氏と同じく、Walters氏も、先端的な技術を導入するより、信頼できるデジタルプラットフォームを構築する方が重要だと考えている。
「医療業界はその性質上、技術的に後れを取っていることでが多い」と同氏は言う。「接しているのが健康に問題を抱える患者であることを考えれば、信頼できて実績がある技術を選ぶことが重要だ。医療業界は、リスクを嫌い、慎重になる傾向があるため、われわれが関心を持つ技術は、ほかの業界とは異なっているかもしれない」
Walters氏が所属する病院財団は、JACが提供する電子処方システムと、優先的に治療が必要な患者について医療スタッフに警報を送る、改良型電子早期警告システムを導入した。新しい電子処方管理システムの導入も進めている。ほかにも導入可能な最新技術はあるが、Walters氏は慎重に物事を進めるようにしているという。
「われわれは、患者が自らの健康に気を遣うよう促すことと、健康状態の改善状況をウェアラブル技術で監視することに関心がある」と同氏は述べている。「しかし、NHSにはまだ先にやるべきことがある。紙を使った事務処理への依存を解消するためのデジタル化への投資など、基本的な分野への投資も進めなくてはならない」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。