IBMはThink会期中、チューリッヒにあるラボで、NvidiaのGPU(「NVIDIA V100」)と自社Power 9を組み合わせた「IBM Power System AC922」を用いてAIのパフォーマンスの性能を一気に46倍高速化したと発表した。Criteo Labsのオンライン広告データセットを用いたもので、40億のトレーニングサンプルに対して91.5秒でロジスティック回帰分析を行った。前の記録であるGoogle Cloud PlatformとTensorFlowは70分だったというから、実に46倍短縮となる。
ブースではPower 9の実物を模したレプリカがあった。
IBMのフェローでアクセラレーテッドコグニティブインフラ担当ディレクターを務めるHillery Hunter氏は、ハードウェアとソフトウェア、両方の最適化が功を奏したと説明する。ハードウェア側では、AC922はGPUとCPUを直接接続するなど10倍の帯域を実現しているとのこと。ソフトウェア側では、「Snap ML(Machine Learning)」として拡張性に優れた機械学習ライブラリを開発したという。分散トレーニング、GPUアクセラレーションなどの特徴を備え、「テラレベルの機械学習を高速化できる」とHunter氏は話す。ソフトとハード、両方を持つIBMの強みと言えそうだ。
IBMのKelly氏は、「IBMとNvidiaのパワーを組み合わせることでAIを加速できる。これはAIの実装に大きな影響を与えるだろう」と述べた。
「IBM Power System AC 922」。黒いチューブのようなものがGPUとCPUを結ぶコネクタ。高速化の重要な要因となっている。