ビジネス界ではデジタルツインについて盛んに議論されているが、その定義は不透明だ。デジタルツインは仮想的な鏡だと考えるといいだろう。鏡の前で本物が動けば、鏡像もその通りに動く。また、鏡に映る像は前に立つ人物によって異なる。もし誰か別の人物が鏡の前に立てば、たとえそれが姿の似た兄弟であっても、そこに映る鏡像は違ってくる。
これはデジタルツインでも同じだ。デジタルツインは1つの機械を仮想的に表現したもので、実際の機械と同じように動作する。同じ工場に基本設計や部品の同じ兄弟機があったとしても、重要な差異も必ず存在する。機械の管理が事業にとって中核的なものである場合、それらの差異は極めて大きな問題になる。例えば、メンテナンス履歴や、運用中に受けた損傷、そのマシンと相互作用するエンタープライズソフトウェアなどが、これに当てはまる可能性がある。
これらは、今日のデジタルツインの実装を本物に近づけるための中核的な概念だ。デジタルツインは機械ごとに異なる、現場のリアルタイムデータを反映した仮想的な存在で、そのデータは、ビジネスの意思決定や業務改善、あるいはコアビジネスモデルの修正にまで使えるものであるべきだ。
さまざまな分野のテクノロジ企業が製品のデジタルツイン開発を支援できると主張しているが、その主張が正しいかどうかは買い手が判断するしかない。筆者はつい先日、あるデータ管理企業から、ビジネスデータだけを使って製品の「デジタルツイン」を作ることができるという話を聞いた。
筆者の考えでは、それはデジタルツインとは言えない。
ある医療機器メーカーは、製品に後からセンサを組み込んで、顧客に付加価値サービスを提供しているが、これなどは実際に現場で使われているデジタルツインの好例だと言えるだろう。この新しいセンサのデータはリアルタイムでストリーミングされており、機器の故障が起きそうな場合には、顧客に警告が送られるようになっている。この種の知見があれば、顧客は故障が発生する前にメンテナンス要員を派遣することができるし、場合によっては、技術者が実際に機器を扱う際に作業についてデジタル的に説明する、拡張現実(AR)体験を提供することさえ考えられる。
--Nate Fleming(Forrester Researchのアナリスト)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。