SalesforceとDeloitteが実施した新しい調査で、消費者向け事業を持つ企業は収集したあらゆる顧客データを有効活用しようとしているが、そのために必要な基礎的な作業が不足している場合も多いことが分かった。
500人以上のB2C企業の役員を対象とした世界的な調査によれば、企業は今後3年の間にデータサイエンティストの雇用を50%近く増やす計画だという。
しかし同時に、多くの企業は、データの入手や、データを管理するための多数のシステムを使いこなすことに苦労しており、包括的なデータ管理戦略も策定できていないことが明らかになった。Salesforce Commerce Cloudで消費者インサイトの責任者を務めるRick Kenny氏は、これらの調査結果は、企業に対する警告サインだと述べている。
同氏は米ZDNetの取材に対して、「データをデータサイエンティストに渡すには、そもそも渡すためのデータを持っていなくてはならない」と話した。
一部の企業は、マーケットプレイスや卸売などの間接的な販売チャネルのデータを入手するのに苦労しているという。
一方で、調査の回答者は、消費者エンゲージメントの管理のために平均で39種類の異なるフロントエンドシステムを利用しており、このことも情報の分断と管理作業の増加につながっている。
また調査によれば、データ管理戦略の鍵となる要素の導入がうまくいっているかどうかは、企業の業績とも相関があることが示されているという。
例えば、業績低迷企業(前会計年度の売上高が横ばいか減少している企業)の68%は、消費者データの管理を行う役職やガバナンスのあり方についての明確な定義を持っていないと答えている。それに対し、同じ問題を抱えている高業績企業(前会計年度の売上高が10%以上増加した企業)は25%しかない。
さらに、業績低迷企業では、消費者の需要や知見に対して素早く対応できると回答したのは37%だったが、高業績企業では70%だった。また業績低迷企業のうち、消費者データの保護についてコンプライアンスとセキュリティ確保のための厳格な対策を取っているのは46%にすぎないのに対し、高業績企業では76%となっている。
「業績が振るわない企業の多くは基礎をしっかり固めておらず、砂の上に建物を建てているような危険な状態になっている」とKenney氏は述べている。
調査によると、AIの導入率は低かったが、これを不思議に思う人は少ないかもしれない。平均では、AIを何らかの用途に導入している企業はわずか3分の1強だった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。