前回、データサイエンティストに求められるスキルを概観し、機械学習などの理論に明るい「AI(Artificial Intelligence)型」と統計理論やビジネスに明るい「BI(Business Intelligence)型」という2つのタイプを紹介しました。
連載の最後となる本稿では、この2つのタイプについて特徴や役割を詳しく説明します。
スキルや得意領域によるデータサイエンティストのタイプ分類
「データサイエンティスト」と一口に言っても、実際は人それぞれにバックグラウンドがあり、身に付けているスキルや得意領域も異なります。
「データサイエンス」として表現される領域は広く、関連分野の包括的な理解が求められますが、ここでは得意な領域にフォーカスしてデータサイエンティストを2つに分けて考えたいと思います。

まず、「ビジネスに強いデータサイエンティスト」を、ここでは「BI型データサイエンティスト」と呼びます。
このタイプはビジネスアナリストに近く、事業について数値を用いた解釈や状況判断、分析を得意としています。ビジネスを取り巻く環境や起こっている現象を数字と結び付けて考えることに長けています。
機械学習プロジェクトでは、どのようなデータを集めればいいのか、そのデータをどのように活用すれば精度の高い分類や予測を導き出せるかを見極めるなど、そういった数値的感覚が要求されるフェーズで力を発揮します。
次に、「理論や開発側面に強いデータサイエンティスト」を、ここでは「AI(Artificial Intelligence)型データサイエンティスト」と呼びます。
より学問的な領域、例えば数学や機械学習理論、コンピュータサイエンスといった領域を得意とするデータサイエンティストです。
機械学習プロジェクトでは課題の解決に適したアルゴリズムの選定から、実際にプロトタイプによる実験を通じて精度を高めていくフェーズで力を発揮します。
冒頭で述べたように、データサイエンティストとしてはどちらかの一方の知識だけ持っていれば良いということではありません。
BI型、AI型という分類はあくまで「得意領域としてどちらが優勢か」という観点で捉えたものです。