日本水産(ニッスイ)とNECは、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)を用いて養殖ブリの体長と体重を自動で測定するシステムを共同開発した。NECは対象魚種をマグロに拡大し、2018年度下期からクラウドサービスとして提供予定としている。
両社の取り組みは2017年に始まった。ニッスイのブリ養殖事業所において、魚の体長および体重の自動分析にNECのAI技術を活用することで、いけす全体での成長状態の把握などを検証した。
今回開発したシステムでは、水中カメラで撮影した魚群の映像から、AI技術により測定対象魚を検出し、同時に測定点を自動的に抽出。その測定点に基づき、ブリの体長を自動測定する。さらにこれらの値から、計算モデルを用いて体重の算出が可能だという。
魚の体長・体重を正確に測定可能なことに加え、作業の機械化・自動化によって人手作業と同等以上の処理を短時間で行えるようになる。結果としてより付加価値の高い業務に集中することができるとしている。魚体と非接触で体長測定が可能なため、魚体を傷めず測定でき、ランダムに直接網ですくいサンプリングする従来の方式による斃死(へいし)や魚病リスクも回避できる。
現在の養殖業において、適切な給餌量や漁獲高を推定するための魚の体長・体重測定は、直接網ですくい上げて測定したり、生簀内の撮影映像をコマ送りし、測定対象魚の測定点を手作業でプロットして測定したりしていると説明する。