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データ活用がもたらす未来が危機にある--“Hadoop産みの親”のカッティング氏 - (page 2)

國谷武史 (編集部)

2018-05-24 06:00

 データの適切な利用と管理のあり方とは、どのようなものか。Cutting氏は、「高い透明性」「ベストプラクティスの実践」「乱用の定義」「適切な監視」の4つの基本原則を挙げる。

 高い透明性とは、後で問題が起きないよう企業や組織が個人に対して、データを収集・利用する目的や方法、保護などの取り組みを明確に提示し、正しい理解と同意を得ることだという。ベストプラクティスの実践では、データの利用や管理の方法について、例えば、データの暗号化やアクセスコントロールといったテクノロジを含めて推奨される方法を適切に実践する。

 乱用の定義とは、データの目的外利用など、要は“してはいけないこと”を事前に定義する。ただし、今後の技術革新などによって新しい問題が生じる可能性もある。Cutting氏は「10年前は現在のようにSNSでプライバシーが侵害されるような事態はあまり想定されなかっただろう。新しい問題が生じてもすぐに把握し、対処できるように備えておくことが求められる」と解説する。

 適切な監視は、乱用の定義とも関係するが、データが適切に利用されていることを監視して乱用を防ぐために不可欠となる。監視のためには、乱用にあたる定義が必要であり、ここではむしろ国家や業界などの規制をうまく利用していくことが望ましいという。


ビッグデータ技術はこの10年で利用範囲が飛躍的に拡大し、データの利用や管理にまつわる“倫理”があらゆる立ち場にもとめられるようになった

 Cutting氏はまた、こうした4つの基本原則に基づくデータの適切な利用や管理を“倫理”とも表現する。その倫理は、ビッグデータの技術を扱うエンジニア、データを扱うデータサイエンティスト、データを利用する企業や組織の全ての部門に至るまで求められるものだと話す。

 「エンジニアは、携わる技術が正しく使われるようにどうすべきかを考えることが求められるし、倫理に反すると感じたならば問題を指摘しなければならない。ただ、エンジニアが関われるのは技術を実装するまでであり、データをどのように利用するかを意思決定する経営層やマーケティングといった非IT部門の人々にも責任がある」

 Cutting氏は、例えば、医師に医療行為を行う上での規範が求められるように、データサイエンティストについてもデータを正しく扱うための規範が必要になるだろうと話す。米国の大学などでは、データサイエンティストを育成する課程でこうした倫理や規範を学ぶ取り組みが始まっており、経済情報を扱うメディア企業が、データサイエンティストの行動倫理について検討を開始しているという。

 こうした“データの倫理”をめぐる動きが具体化しているのは、現状ではGDPRのような大きな枠組みと、データサイエンティストなど個人に近い領域にとどまる。Cutting氏が期待するのは、やはりその中心になる企業や組織レベルでの主体的な取り組みであり、それをしなければ、GDPRのような大きな枠組みによって、企業や組織がデータ活用で期待する“可能性の芽”が摘み取られてしまいかねない。

 企業や組織がデータの倫理に臨むようになる上で、Cutting氏は、ビッグデータ技術者やデータサイエンティストが大きな役割を果たすとも語る。多くの企業が希少なデータの専門家人材の獲得に苦労しているだけに、「人材不足はある意味で良い機会だ。彼らに注目が集まっているし、企業や組織は彼らの意見に耳を向けてくれやすい。データの技術者は、従来のIT技術者に比べても、この領域で大きな力を持っている」

 そして、「我々はテクノロジサプライヤーの立場ではあるが、データを適切に利用、管理していくために必要なあらゆる手段を用意し、提供している。顧客やパートナーとともに一丸となって主体的にデータの倫理を考え、実践していきたいと考えており、そのための努力は惜しまない。だからこそ、企業や組織は、この現状にぜひ関心を持ち、向き合ってほしい」と話している。

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