首都圏から1600キロ離れた沖縄にバックアップ--事業継続における意義

翁長潤

2018-05-17 06:00

 日本ヒューレット・パッカード(HPE)と沖縄クロス・ヘッドは、5月1日にHPEのハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品「HPE SimpliVity」と沖縄クロス・ヘッドの「OCH Power」を組み合わせたバックアップサービス「OCH POWER BCPパッケージHPE SimpliVity」の提供を開始した。沖縄をバックアップ拠点にする意義などを取材した。

 OCH POWERは、遠隔から物理ラックをコントロールできる遠隔管理サービス。OCH POWER Web Console画面からデータセンターに設置された機器の遠隔操作や、スタッフへの依頼を実行できる。HPEインテリジェントラックを活用して、電源の使用量や電源コントロール(インテリジェントPDU)、温度や湿度などの環境センサ、ラック搭載位置検出を可能にするロケーションディスカバリを利用して物理データを収集する。

OCH POWER Web Consoleのイメージ
OCH POWER Web Consoleのイメージ

 一方、HPE SimpliVityは、仮想環境に必要なインフラを単一のハードウェアに統合した製品。専用アクセラレータカードによるデータの重複排除と圧縮によってデータ容量を最適化し、データ容量を90%削減する高速バックアップが行える。

 今回提供を開始したOCH POWER BCPパッケージHPE SimpliVityでは、ユーザー側にHPE SimpliVityを設置し、沖縄県宜野座市にあるOCHのデータセンターとインターネットVPNで接続。両地点にVPNルータを配置することで、セキュアな拠点間通信を実現している。ディスク容量が500GバイトのVM(仮想マシン)であれば、最速3秒でバックアップできるという。

OCH POWER BCPパッケージHPE SimpliVityの全体イメージ
OCH POWER BCPパッケージHPE SimpliVityの全体イメージ
沖縄クロス・ヘッド 代表取締役社長の渡嘉敷唯昭氏
沖縄クロス・ヘッド 代表取締役社長の渡嘉敷唯昭氏

 沖縄クロス・ヘッド 代表取締役社長の渡嘉敷唯昭氏は、導入メリットとして、「製品自体がワンパッケージとなっているので、簡単にバックアップが取れる」「遠隔地での高速バックアップが可能」「災害時の復旧作業が速く、すぐに事業再開ができる」といった点などを挙げた。

 また、「遠隔地でのバックアップに関しては、沖縄には立地的に優位な点がある。首都圏から約1600キロメートル離れているため、同時に被災しない。遠隔地にバックアップを取るということは、回線帯域や回線料がかかるが、データを圧縮して高速転送を行うのであれば、時間も帯域も取らない。システムの復元に関してもマウスの数クリック操作で可能になるという特徴がある」と語る。

データセンター内にあるHPE SimpliVity
データセンター内にあるHPE SimpliVity

遠隔バックアップ環境として優位性を持つ沖縄県

 沖縄クロス・ヘッドの公式データセンターである「宜野座村ITオペレーションパーク」は、沖縄県本島北部に位置する。同地域は表層地盤が固く、中南部よりも地震の揺れが少ない。また、沖縄県には原子力発電所がなく、ほとんどが火力発電で原発依存度はゼロ。原発の運転停止による電力不足や事故による立入規制の心配がない。

宜野座iDCの外観
宜野座iDCの外観

 また、東京・沖縄間で大容量の通信回線を敷設した沖縄県の国際情報通信基盤を活用するデータセンターサービスを提供している。10Gbpsの専用線を利用できるなど、遠隔地でありながら高速回線を保有している点が強みだという。

宜野座iDCデータセンターの内部
宜野座iDCデータセンターの内部

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