日本IBMが先頃、クラウド事業の最新動向について記者説明会を開いた。パブリッククラウドの基盤サービス(IaaS)市場では、国内外ともAmazon Web Services(AWS)、Microsoft、Googleが“先頭集団”と見られるが、果たしてIBMはそこに食い込むほどの勢いがあるか。会見で探ってみた。
最新技術への対応や既存システムのクラウド化に注力
会見に臨む日本IBMの三澤智光 取締役専務執行役員IBMクラウド事業本部長
「ここにきて、ますます勢いがついてきたと実感している」――。日本IBMの三澤智光 取締役専務執行役員IBMクラウド事業本部長は、同社が先頃開いた会見の質疑応答で、クラウド事業の勢いについて聞いた筆者の質問にこう答えた。
三澤氏はクラウド事業の最新動向として、まずデジタル時代のクラウドネイティブなニーズに向けて、変化に強く素早くサービスを提供できる「マイクロサービス」やアプリケーション開発に最適な「コンテナ」などの最新技術に対し、図1のようにオープンスタンダードな技術を活用して積極的に取り組んでいることを強調した。(関連記事参照)
また、IBMのクラウドはコンテナ技術を活用することによって、データとアプリケーションをオンプレミスでもパブリッククラウド(IBMおよび他社クラウド)でも最適な場所に置いたり移動できる、ハイブリッドおよびマルチクラウドに柔軟に対応していることも図解しながら説明した。
図1:クラウドの最新技術に向けたIBMのオープンスタンダードへの取り組み
さらに、既存システムのクラウド化については、IBMのクラウドによって、既存システムをそのままクラウドに移行できることを紹介。その代表例として、同社が提供するベアメタルによってVMwareの環境を変更することなく、クラウド上で稼働できる「VMware on IBM Cloud」を挙げた。これについては、既にグローバルで1400社の導入実績を上げるなど、IBMのクラウドにとって大きな強みになっているという。(図2)
図2:VMware on IBM Cloudの特徴