古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」

HPEの開発部門が採用しているDockerイメージ管理手法

古賀政純(日本ヒューレットパッカード)

2018-06-08 07:30

 こんにちは。日本ヒューレット・パッカードのオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストの古賀政純です。前回の記事では、HPEの開発部門が注目したDockerイメージのサイズなどについて簡単にご紹介しました。今回は、Dockerイメージの管理手法についてご紹介します。

Dockerプライベート・レジストリの採用

 複数の開発チームが協調して開発を行う場合、大量に存在するDockerイメージを共有する仕組みは、どのように実現するのでしょうか。HPEの開発部門が利用するDockerイメージは、非常に多岐にわたりますが、HPEでは、大量のDockerイメージを中央集権的に管理する保管庫(レジストリと呼ばれます)を用意しています。

 このDockerイメージの保管庫は、セキュリティ上の理由から、社外と隔離し、Dockerプライベート・レジストリとして利用されています。パブリックではなく、プライベート、すなわち社内用のDockerイメージの保管庫ですので、インターネットへのアクセスが許されない開発部門でも、社内用のDockerイメージの保管庫からDockerイメージを入手し、Dockerコンテナによるアプリケーション開発ができます。

図01. Dockerプライベート・レジストリ
Dockerプライベート・レジストリ

企業における情報セキュリティを考慮したDockerイメージの保管庫

 重要なソフトウェアコンポーネントは、セキュリティ機能を高めたDockerイメージの保管庫であるDockerトラステッド・レジストリ(Docker Trusted Registry、通称、DTR)を使います。DTRは、商用版のDockerエンジン(Docker Enterprise Edition Advanced、通称、Docker EE Advanced)で稼働します。

 DTRを使用すると、セキュアなDockerイメージの保管庫を構築できます。開発部門では、開発メンバーの開発者個人のDockerイメージへのアクセス権限やグループ管理、DTRへのDockerイメージの登録や配布の可否設定、Dockerイメージの脆弱性チェックなどが必要です。そのため、セキュリティ面での詳細な設定が可能なDTRが必要になるわけです。

 商用版のDockerエンジンであるDocker EE Advancedは、Docker社純正のソフトウェアであり、Docker社のサポートが受けられます。Docker EE Advancedは、システムの負荷状況を確認できるダッシュボードや、ユーザー管理、コンテナの起動、停止、Dockerイメージの脆弱性チェックなどができる多機能なGUI画面を提供します。Docker EE Advancedは、外部から入手したDockerイメージをスキャンし、セキュリティの脆弱性チェックを行うことが可能です。脆弱性チェックで問題があるDockerイメージは、適宜、脆弱性がないソフトウェアに差し替えてDockerイメージを作成し、DTRに登録するといった運用を行います。

Docker EE Advancedが提供するダッシュボード画面
Docker EE Advancedが提供するダッシュボード画面
Docker EE Advancedが提供するDockerイメージの脆弱性チェックの画面
Docker EE Advancedが提供するDockerイメージの脆弱性チェックの画面

 ちなみに、HPEは、Docker社と協力し、「Docker EE Advanced」をOEM製品として日本国内でも提供しています。

Docker社純正製品「Docker Enterprise Edition Advanced」の情報源

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI を活用した革新的な事例 56 選 課題と解決方法を一挙紹介

  2. ビジネスアプリケーション

    生成 AI の可能性を最大限に引き出すためにできること—AI インフラストラクチャの戦略ガイド

  3. ビジネスアプリケーション

    業務マニュアル作成の課題を一気に解決へ─AIが実現する確認と修正だけで完了する新たなアプローチ

  4. ビジネスアプリケーション

    調査結果が示す「生成 AI 」活用によるソフトウェア開発の現状、ツール選定のポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    ITSMに取り組むすべての人へ、概要からツールによる実践まで解説、「ITSMクイックスタートガイド」

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]