ヴイエムウェアは6月13日、通信サービスプロバイダー向けに提供されるネットワーク機能の仮想化(NFV:Network Function Virtualization)プラットフォームの最新版「VMware vCloud NFV-OpenStack Edition 3.0」を発表した。新たに「VMware Integrated OpenStack-Carrier Edition 5.0」が含まれ、ネットワークのパフォーマンス、キャリアグレードの新しいネットワーク機能、QoSなどの機能強化を行ったという。同社会計年度の2019年度第2四半期(2018年5月5日~8月3日)中の提供開始を予定している。
VMware アジア太平洋・日本地域の副社長兼最高技術責任者(CTO)のBruce Davie氏
概要を説明したVMware アジア太平洋・日本地域の副社長兼最高技術責任者(CTO)を務めるBruce Davie氏は、通信サービスプロバイダー(CSP)を取り巻く環境が、「新しいビジネスモデル」「新しいネットワークとクラウド」「新しいコネクテッド エコシステム」が出現したことで大きく変化し、従来の柔軟性に乏しいクローズド/高コストで複雑なネットワーク・アーキテクチャから次世代のアーキテクチャへの変革がなければ市場競争力を維持できなくなりつつあると指摘した。
VMware vCloud NFVプラットフォームは“ネットワークの変革およびモダナイゼーションの基盤”として通信事業者向けに提供されるパッケージ製品であり、vSphere、vSAN、NSXといった同社の仮想化製品に、運用管理ツールとしてvCloud DirectorやVMware Integrated OpenStack、vRealize製品群を組み合わせた構成となっている。
今回の機能強化に関して同氏が特に強調したのは、「パフォーマンスの向上」と「オープンスタンダードのサポート」だ。
パフォーマンスの向上に関しては、VMware vClodu NFV-OpenStackがVMware NSX-T Data Centerに対応したことで、新たに「データプレーン開発キット(DPDK)」ベースの開発手法が追加され、データプレーンネットワークのパフォーマンス向上が実現したほか、仮想スイッチの大幅な性能向上なども実現しているという。オープンスタンダードのサポートでは、2018年2月28日にリリースされた“OpenStack Queens”(Ver.17相当)に加え、ONAP、OSMなどのサポートも強化したという。
「VMware vCloud NFV-OpenStack Edition 3.0」の概要(出典:VMware)
なお、ヴィエムウェア 執行役員 ストラテジックアカウントビジネス本部長の秋山将人氏は、日本市場の状況について「グローバルではLTE対応のタイミングでNFVへの取り組みも同時に行われる例が目立つが、日本ではLTE対応が早い時期に行われたことで、各社とも既に対応を終えている。そのため、日本では5G導入のタイミングでNFVへの取り組みが本格化するのではないか」としている。