Ciscoの最高経営責任者(CEO)Chuck Robbins氏は、同社は人工知能(AI)そのものをビジネスにするのではなく、AIを使ってテクノロジを実現していると語った。同氏によれば、製品ポートフォリオの多くでAIが利用されているという。
米フロリダ州オーランドで開催された「Cisco Live 2018」で米ZDNetの取材に応じたRobbins氏は、AIの重要性を示す例として、Cisco Talosが2018年5月に「VPNFilter」の攻撃を発見したことを挙げた。
「製品ポートフォリオ全体に言えることだが、わが社がセキュリティや多数の脅威にどう対処しているかを見れば、AIと機械学習の要素が存在していることが分かるはずだ。AIなしでは、今わが社がやっていることは不可能だ」とRobbins氏は言う。
「わが社のセキュリティ研究者がVPNFilterを発見したときには、この種のことを発見するために、グローバルに多くの情報と多くのコンピューティングパワーが投入されていた。AIはこの分野でも、インテントベースのネットワーキングでも、わが社のコラボレーション製品でも、どこでも重要だ」
「一部の企業は、AI自体をビジネスにするという選択をするだろうが、わが社では、AIはわが社が作るあらゆるテクノロジを可能にする要素だと考えている」(Robbins氏)
同氏は、多くの企業が本来AIと呼ぶべきでないものをAIと呼んでいるが、CiscoはAIの実際の定義についてもっと「現実的」な考えを持っていると付け加えている。
「わが社は、テクノロジでできることについて現実的に見ている。私は個人的に、現在AIと呼ばれているものの多くは、単に非常にインテリジェントなアルゴリズムで高速に処理されている、巨大なデータセットだと考えている」(Robbins氏)
Ciscoのネットワーキングおよびセキュリティビジネス担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるDavid Goekeler氏も、AIと機械学習はビジネスのあらゆる場所に組み込まれていると述べた上で、TalosによるVPNFilterの発見は、AIのおかげだと指摘した。
Goeckeler氏はCisco Liveで、「あれは、わが社の脅威インテリジェンス研究の効果を示す非常によい事例であり、わが社は各国政府と連携を取り、サイバー脅威から人々を守るための活動を組織している」とメディアに対して語った。
「サイバーセキュリティのあらゆる場面で、AIが大規模に使われている」(Goeckeler氏)