全銀電子債権ネットワークは、2017年11月から2018年2月までNTTデータと行った電子記録債権(電債)の管理にブロックチェーン技術を適用する実証実験の結果を発表した。処理性能に特段の問題は認められなかったものの、安全性などに課題があると報告している。
実証実験では、全国銀行協会の「ブロックチェーン連携プラットフォーム」上に全銀電子債権ネットワークの試作アプリケーションを構築し、電債の発生や譲渡、支払い記録などの基本的な取引を再現することで、「業務適合性」「秘匿性」「処理性能」の観点から、ブロックチェーン技術の評価と検証、課題の抽出を行った。
実証実験イメージ(出典:全銀電子債権ネットワーク)
その結果、「処理性能」では特段の問題が認められなかったが、「業務適合性」と「秘匿性」に課題が見つかったという。
「業務適合性」では、電債の発生、流通、消滅までの経緯をブロックチェーンに記録し、記録に沿った内容の開示や関係者への通知などを実現できるか確認したが、発生する電債への採番において現行システムと同様の採番体系に基づく番号の付与ができないケースが見つかり、対処が必要になることが判明した。
「秘匿性」では、取引経緯に応じた権限の制御(債権情報の参照や更新の権限)や制御の前提となる認証処理の実現性を検証したが、特定の状態でノード管理者らが容易に台帳へアクセスでき、参照権限のないデータまで参照できてしまえることが分かったとしている。
実証実験の結果を踏まえて全銀電子債権ネットワークは、引き続きブロックチェーン技術に関する情報収集などを進め、上記の判明した課題に対する解決策を検討していくという。