挑戦する“アトツギ”を応援--「ベンチャー型事業継承」支援団体が発足

藤本和彦 (編集部)

2018-06-26 07:00

 中小企業の若手後継者支援を目的とした一般社団法人「ベンチャー型事業継承」は6月25日、団体発足に合わせて記者会見を開いた。後継者不在による廃業が深刻化する中、家業の経営資源を生かして新たな事業を起こす若手後継者“アトツギ”を支援する。

 同月20日に設立。官民が連携して若手後継者の挑戦をサポートするプラットフォームを構築することで、企業の存続力を支える「ベンチャー型事業継承エコシステム」の実現を目指すとしている。

 ベンチャー型事業継承とは、「若手後継者が先代から受け継ぐ有形・無形の経営資源をベースに、リスクや障壁に果敢に立ち向かいながら、新規事業や業態展開、新市場参入など新たな領域に挑戦することで、永続的な経営を目指し、社会に新たな価値を生み出すこと」(代表理事を務める千年治商店 代表取締役の山野千枝氏)。これまで、「第二創業」「経営革新」など、中小企業の新規事業で片付けられていたものを“ベンチャー”という位置付けで支援しようという試みだという。

ベンチャー型事業継承の事業スキーム
ベンチャー型事業継承の事業スキーム

 アクションプランとして、(1)事業開発・人材育成に関する課題解決、(2)事業開発に関する課題解決、(3)資金調達に関する課題解決、(4)配当リターンのファンド運営、(5)人材・組織に対する課題解決――を挙げる。

 具体的には、クラウド型会計ソフトを提供するfreeeと共同で、家業の経営資源で新規事業を考えるビジネスイベント「アトツギソン」を都内で開催する。また、人材育成サービスを提供するリバネスと連携し、事業開発に必要な技術&研究のマッチングサービスを提供する。クラウドファンディングを手掛けるマクアケは、同社サービスを用いて資金面とマーケティング面を一括支援する。さらに銀行との連携で融資額の増加も後押しする。

 「ゼロから立ち上げる起業家でもなく、先代と同じスタイルで同じ商売をする事業継承でもない、『ベンチャー型事業継承』というベンチャー企業の新たなジャンルを作る。起業家もかっこいいけどアトツギ社長もかっこいいと若い世代が思えるカルチャーを創りたい」と山野氏は意気込む。

 近畿経済産業局は2017年2月にベンチャー型事業継承の支援策をスタート。同年7月には、中小企業庁が「事業承継5カ年計画」を策定し、事業承継を機に後継者が新規事業に挑戦しやすい環境を整備するとしている。

 ベンチャー型事業継承の構成メンバーは、千年治商店 代表取締役 山野千枝氏、AllDeal 代表取締役CHRO 堀尾司氏が代表理事を、大都 代表取締役社長 山田岳人氏、マクアケ 代表取締役社長 中山亮太郎氏が理事を務める。

 顧問として、サンワカンパニー 代表取締役社長 山根太郎氏、freee 代表取締役CEO 佐々木大輔氏、関西大学 梅田キャンパス スタートアップ支援マネージャー 財前英司氏、代表世話人 代表取締役 杉浦佳浩氏、AllDeal 取締役会長 前田徹也氏、ヒューマンロジック研究所 代表取締役 古野俊幸、ストリートスマート 代表取締役 松林大輔氏、RE-Engineering Partners 代表取締役 稲田将人氏、マルタスインベストメント 代表取締役 澁谷剛氏が名を連ねている。

(左から)マクアケ 代表取締役社長 中山亮太郎氏、大都 代表取締役社長 山田岳人氏、千年治商店 代表取締役 山野千枝氏、AllDeal 代表取締役CHRO 堀尾司氏、freee 代表取締役CEO 佐々木大輔氏
(左から)マクアケ 代表取締役社長 中山亮太郎氏、大都 代表取締役社長 山田岳人氏、千年治商店 代表取締役 山野千枝氏、AllDeal 代表取締役CHRO 堀尾司氏、freee 代表取締役CEO 佐々木大輔氏

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