企業のリーダーは、クラウドコンピューティングを活用して競争上の優位を確立する必要がある――。これが、最近非営利組織Technology Business Management(TBM)Councilが開催したリーダーシップラウンドテーブル会議の結論だ。
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このイベントでは、ビジネス変革における最高情報責任者(CIO)の役割が議論された。この記事では、企業でクラウドを最大限に活かすためのベストプラクティスについて、5人のエキスパートに話を聞く。
1.クラウドを戦略的な観点で捉える
北欧の法人向け銀行SEB Groupで事業支援部門の最高財務責任者(CFO)を務めるJurate Lingiene氏は、常にデジタル変革を推進し続けることが「ニューノーマル」(新たな常態)になっていると話す。同氏は顧客中心の戦略が重要だと考えており、あらゆるITリーダーが同様の課題に直面していると語った。
「エコシステムは変化し続けている。ITのあらゆる要素が、最高の顧客体験を提供する方向に向かっている」と同氏は言う。「当社では、自分たちのためだけにバックオフィスの技術を使うことはない。テクノロジを導入するのは、顧客へのサービス提供に役立てるためだ」
Lingiene氏は、顧客の要求を満たすことを目指すには、妥当性、柔軟性、効率を重視したテクノロジ戦略が必要だと述べている。同氏は「そのためには、事業部門の業務を支えることを念頭にクラウドについて検討するとともに、素早さを身につけなくてはならない」と述べ、CIOは事業でオンデマンドITをどう利用できるかを慎重に評価する必要があるとした。
「将来の費用について考える必要があるし、ほかの選択肢についても熟考する必要がある。クラウドは何にでも効く万能薬ではない。データについて、そしてさまざまなソリューションでデータをどう利用するかについて集中しなくてはならない。今後データがどう使われるか、どのような変化があり得るかを考える必要がある。戦略的な視点が極めて重要だ」(Lingiene氏)
2.人々の振る舞いを変えるためのツールを提供する
投資銀行Credit SuisseのChief Technology Officeで最高執行責任者(COO)を務めるDaniel Schmutz氏は、クラウドはあらゆる問題を低コストで解決できるわけではないという意見に同意している。「コストの削減はクラウドを普及させた大きな要因の1つだったかもしれないが、何でも安くなるわけではない」と同氏は言う。「これには十分な注意が必要で、特にレガシーな業務をクラウドに移行すると、非常に高くつく場合がある」
同氏のチームは、社内や社外の顧客に価値を提供できる活動を目指しているという。Schmutz氏は、それらの取り組みの一環として、テクノロジ資源の捉え方を製品指向からサービス指向に転換しようとしていると話す。