松岡功の一言もの申す

SAPが目論む日本での“デザイン思考”旋風

松岡功

2018-07-05 10:30

 SAPが日本で大手企業のイノベーションを支援するための活動拠点を設置する。その具体的な支援の手立てとなるのが、「デザインシンキング(デザイン思考)」だ。新たな拠点の設置によって、同社は日本でデザインシンキング旋風を巻き起こそうと目論んでいるようだ。

SAPが東京・大手町にイノベーション支援拠点を設置へ

会見に臨むSAPジャパンの内田士郎 代表取締役会長
会見に臨むSAPジャパンの内田士郎 代表取締役会長

 「SAPが米シリコンバレーで展開しているイノベーションを支援する取り組みの全てをここに持ち込みたい」――。SAPジャパンの内田士郎会長は、同社と三菱地所が共同で行った新たな施設開設の会見でこう力を込めた。同氏が「ここ」と表現したのは、三菱地所が大規模リノベーションを進める東京・大手町ビルの6階に、SAPジャパンが11月に開設する予定の「TechLab」(仮称)のことである。同社ではこの施設を「ビジネスイノベーションスペース」と呼んでいる。

 TechLabの発表内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは内田氏が会見で説明したSAPによるイノベーション支援の取り組みについて記しておこう。

 同氏は日本でのイノベーション創出における課題として、図1のように「People」「Process」「Place」といった3つの「P」を挙げた。

図1:日本国内でのイノベーション創出における課題〜3つの「P」とは
図1:日本国内でのイノベーション創出における課題〜3つの「P」とは

 Peopleは「同質から抜け出す」あるいは「“異邦人”と交わる」のがキーポイントで、SAPジャパンが日本独自の取り組みとして3月に発表した「Business Innovators Network」と呼ぶコミュニティーを指す。このコミュニティーについては、2018年3月22日掲載の本コラム連載「SAPにみる『デジタルエコシステム躍動の決め手』」で解説しているのでご参照いただきたい。

 Processは「共通言語」あるいは「フレームワーク」がキーポイントで、すなわちデザインシンキングである。Placeは「出島」あるいは「創造性を高める環境」がキーポイントで、内田氏の冒頭の言葉にあるように、シリコンバレーのSAPの拠点、そして今回のTechLabを指す。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    生成 AI の真価を引き出すアプリケーション戦略--ユースケースから導くアプローチ

  2. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  3. セキュリティ

    マンガで解説、「WAF」活用が脆弱性への応急処置に効果的である理由とは?

  4. セキュリティ

    クラウドネイティブ開発の要”API”--調査に見る「懸念されるリスク」と「セキュリティ対応策」

  5. セキュリティ

    5分で学ぶCIEMの基礎--なぜ今CIEM(クラウドインフラストラクチャ権限管理)が必要なのか?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]