Reutersは2018年6月に、Microsoftが食品スーパーからレジの行列や店員をなくすための技術に取り組んでいるというニュースを報じた。
注目を浴びているAmazonのコンビニエンスストア「Amazon Go」に続いてMicrosoftがこの分野に参入すれば、この両社の間に対決の構図が生じるかもしれない。
小売業の領域でAmazonと勝負するのは大変なことだが、Microsoftには店舗販売の分野で巨大な力を持つ、力強い味方ができるかもしれない。Reutersが報じたように、Microsoftはこの技術の実現に向けて、Walmartと協議を進めているとされる。
筆者は、検討されているMicrosoft・Walmart同盟と、この同盟がAmazonに与える影響について意見を聞くため、機械学習と個人に合わせたマーケティングを専門とする企業Dynamic YieldのシニアコンテンツマーケターShana Pilewski氏に話を聞いた。
--検討されているMicrosoftとWalmartのパートナーシップは、現在Microsoftの中でどの程度の扱いになっていると思われますか。
MicrosoftとWalmartが決済に関するコラボレーションについて協議しているというニュースが流れた以上、MicrosoftのビジネスAIチームは、この取り組みに全力を挙げる準備をしているでしょう。Bezos氏(Amazonの最高経営責任者)が、シカゴとサンフランシスコにAmazon Goの店舗を設けようとしていることを考えれば、この契約が成立した場合、Walmartは、先行することによる利益を最大化するため、Microsoftに対してできるだけ早く、効率的にこのレジなし決済技術を実現することを求めるでしょう。Walmartの店舗展開の規模を考えれば、先行によるメリットは大きなものになるはずです。
--この試みは、Amazonの実店舗展開に対する対抗策として十分なものでしょうか?
Loup Venturesは、レジなし商品購入の市場規模は、米国だけで500億ドル(約5兆5500億円)規模にまで成長すると予想しています。Walmartはこのパートナーシップで、Amazonに対して極めて大きな優位を得るでしょう。この試みは、Amazon Goの店舗が先んじると考えられていたイノベーションや知見に関して、重要な基準を定めるものになるはずです。Walmartはすぐに、Microsoftと協力しながら新たなショッピングの形を生み出すために必要な顧客体験に関するデータを、十分に得られるようになるでしょう。これに比べれば、Amazonが既存の小売業者に追いつこうとして、全米に数店設置する店舗で集められるデータの量は色あせてしまう可能性もあります。