サイバー攻撃の発生予想を通知--Antuit、脅威情報の提供事業に本腰

國谷武史 (編集部) 2018年07月13日 13時49分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ソフトウェアベンチャーのAntuitは7月13日、5月から事業展開を本格化させたというセキュリティ脅威情報の提供サービス「360度サイバーセキュリティサービス」に関するメディア向け説明会を開いた。サイバー攻撃者グループの動きを監視しながら、ユーザー企業ごとに攻撃の発生予測を事前に通知しているという。

 Antuitは、2013年にシンガポールで設立されたビッグデータ分析技術を中核とするサービスを展開し、ゴールドマン・サックスなどが出資する。前身にはデータ分析ツールを手掛けていたオーリック・システムズ(日本法人は2016年に合併)などが含まれ、セキュリティ関連事業は「CYFIRMA」のブランドで、日本市場を中心に展開する。

Antuit CYFIRMA部門のチェアマン兼最高経営責任者(CEO)を務めるKumar Ritesh氏
Antuit CYFIRMA部門のチェアマン兼最高経営責任者(CEO)を務めるKumar Ritesh氏

 CYFIRMA部門のチェアマン兼最高経営責任者(CEO)を務めるKumar Ritesh氏は、国家の支援を受けるサイバー攻撃者グループが日本への標的型攻撃に注力していると指摘。仮想通貨の金銭的価値を狙う攻撃に加え、攻撃者グループの間では、2020年の東京五輪に向けて日本の重要インフラに対する攻撃をいかに仕掛けるかといった話題で盛り上がっているという。

 同氏は、IBMやPwCグループのセキュリティ事業部門の幹部を歴任後、鉱業世界最大手のBHP Billitonで最高セキュリティ責任者(CSO)を務めた。その経験から、現在の日本は経済大国にもかかわらずサイバーセキュリティの取り組みが後回しにされており、かつ、意識も低いと指摘する。このため、サイバー攻撃者グループにとって日本は“格好の獲物”と見なされているようだ。

 脅威情報の提供では、独自開発というボットプログラム「バーチャルエージェント」を使って、サイバー攻撃者グループのフォーラムサイトにおける会話などを24時間体制で監視し、どのような攻撃者がどのようなことに関心を抱いているのかを分析。また、各国政府やセキュリティ機関やベンダー、インターネットニュースサイトなど28万種類以上の情報源からもセキュリティ情報を収集する。

セキュリティ脅威情報のデータ収集、分析環境の概要
セキュリティ脅威情報のデータ収集、分析環境の概要

 こうして収集した“ビッグデータ”を機械学習で分析。分析結果は、情報提供を受ける企業や組織ごとにカスタマイズし、脅威予測レポートや攻撃検知のための指標データとして随時提供しているという。2017年まで日本や米国などでテストマーケティングとして試験的にサービスを提供し、2018年5月に正式サービス化した。利用料は月額300万円で、現在は大手を中心に十数社が契約しているという。

 日本法人代表取締役社長の釼持祥夫氏は、提供する脅威情報の正確性に強みがあると述べた。サイバー攻撃者グループ内部のやり取りを常時監視することで、実際に攻撃を行うかどうか予測できるという。2018年は7月までにマルウェアの大規模感染活動など13件の緊急予測レポートを発行し、その全てで1~2週間後に攻撃の発生を確認したという。

 今後は2019年初頭にサービス内容を強化し、STIX(脅威情報構造化記述形式)とTAXII(検出指標情報自動交換手順)に準拠した情報配信を行う。現在は、提供情報のうち攻撃者グループのIPアドレスなどの指標情報についてはExcelファイル形式で配信し、ユーザーのセキュリティ担当者が手作業でセキュリティ機器に反映して脅威を検知するようにしているが、今後はこれを自動化していく。

日本におけるサイバー攻撃の概況
日本におけるサイバー攻撃の概況

 なお、この説明会の直前にも緊急レポートを公開。ある攻撃者グループがフォーラムで日本の25の企業と組織を標的候補にしている状況を把握したといい、銀行と航空、自動車部品、電子機器、放送局、通信、衣料販売、製薬などの名称を挙げて注意を呼び掛けている。ただし、攻撃者が実在の名称とは部分的に異なる名前を挙げているなど、正確性に欠く可能性もあるとした。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]