クラウドコンピューティングの台頭から10年近くが経過し、企業がITシステムを利用する上で、もはやクラウドは当たり前の存在となっている。振り返ってみると、黎明期のクラウドに対する最大の懸念はセキュリティだったが、現在ではだいぶ様変わりしているようだ。
長い間、企業が機密性の高い情報資産やデータを守る最善の方法は、オンプレミスという自分たち環境でそれらを管理することだと認識されてきた。黎明期のクラウドに対するセキュリティの懸念とは、クラウド運営会社に対する不信感から生じていたといえる。
この10年でクラウド企業によるセキュリティへの取り組みは大幅に向上し、ベストプラクティスや指針といった“標準”も整備されてきたことで、当初におけるクラウドへの懸念はほぼ解消された。一方でクラウドの利用が本格化するにつれ、クラウドシステムの複雑化や機密データ管理の煩雑さといった新たな課題が生じつつある。
クラウドを前提するIT環境が当たり前となる中で、世界の企業や組織はクラウドのセキュリティの新たな課題をどう捉え、対処しようとしているのか――その視座を得るための記事をまとめた。
「クラウドセキュリティに対する世界の見方」