1500人強存在するシリコンバレーのベンチャー投資家のうち約600人(40%)は、米国の名門私立大学であるハーバード大学かスタンフォード大学を卒業している。
このデータは、シリコンバレーで活動する黒人ベンチャー投資家の1人であるRichard Kirby氏がまとめたものだ。
シリコンバレーのベンチャーキャピタルコミュニティは、共通の特権的な社会経済階層を源泉にしているだけでなく、文字通り同じ教室にいた者同士で構成されている。
Kirby氏は2016年にも同様のデータをまとめているが、この2年間で白人投資家は74%から70%に微減した一方、アジア系の投資家は23%から26%に微増し、黒人投資家は2%から3%に増え、ヒスパニック系に変化はなかった(1%)という。ただし女性投資家の数は、11%から18%に大きく増えた。
Kirby氏は、「この2年間で改善は進んだが、われわれの業界の多様性が改善されるにはまだ時間がかかる」と述べている。
また黒人投資家の約50%は、やはりハーバード大学かスタンフォード大学の出身だった。
同氏は、シリコンバレーのベンチャーキャピタル業界が、現在でもこれほど閉鎖的であることを知って衝撃を受けたという。
「業界の82%は男性で、60%近くは白人男性だ。また全体の40%を、たった2校の学術機関出身者が占めている。これを考えれば、この業界が閉鎖的で、能力主義社会(meritocracy)というよりは均質性が優先される社会(mirrortocracy)に感じられるのも何ら不思議ではない」(Kirby氏)
シリコンバレーのベンチャーキャピタルコミュニティに多様性が欠如していることは、投資を受けているベンチャー企業の種類にも反映されている。マイノリティや女性が社長を務めるスタートアップが投資を受けている例は極めて少ない。
これは、文化的な偏見によって、ベンチャー投資家が成功するビジネスアイデアを見逃してしまう可能性があることを意味している。今後は、こういった人為的な障壁を乗り越えられるベンチャーキャピタルが成功するのかも知れない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。