リコーは全国約500拠点、グループ3万4000人が利用するネットワーク基盤を再構築した。事業所内のネットワーク(LAN、WAN)やインターネット接続を支える基盤として、新たにジュニパーネットワークスの製品群を活用した。
2010年ごろから、インターネットの速度が遅い、ウェブページが表示されないなどのクレームが多くなり、一部のクラウドアプリケーションが正常に機能しないといった問題も生じていた。
複数の拠点をつなぐWANに関しては、ある拠点の条件変更が他の拠点に影響してしまうことが課題となっており、グループ全体でバランスを取ることが難しくなっていた。さらに、接続速度の低下に対応するためには、LAN、WAN、インターネットを個別に調査する必要があり、解決までの期間が長くなっていたことに加え、調査と調整に掛かるコストも増加していた。
リコーでは、ネットワークの再構築に当たって「設定が簡単でミスを減らせる技術であること」「自動化が容易であること」「業界標準の規格/プロトコルに対応して相互運用性が確保できること」の3つを優先して製品の設定を進めた。その結果、ジュニパーの各製品がその条件を満たすを判断した。
ネットワーク図と導入製品(出典:ジュニパーネットワークス)
今回導入したのは、ネットワーク基盤の中核を担う「Junos OS」、エッジルータ「MX480」、サービスゲートウェイ「SRX5800」、イーサネットスイッチ「EX9214」、データセンターファブリックスイッチ「QFX5100」の各製品。
Junos OSについては、分類の異なる機器や上位機種/下位機種で設定方法を統一し、運用負荷を軽減できる点、Pythonなどのオープンソースソフトウェアを用いて処理を自動化できる点を評価した。
WANとインターネットの各回線を束ねる「MX480」は、ハードウェアのプログラム制御が可能なシリコンチップ「Juniper Penta Silicon」を搭載しており、「MPC-10E」ラインカードで1/10/100GbEの高密度を実現するとともに、スロットごとに1.5Tbpsのスループットとデータプレーンでのセキュリティを提供する。また、サービスゲートウェイのログをセキュリティ情報イベント管理(SIEM)システムに取り込んで、サイバー脅威を可視化できるようになった。
LANについては、2017年ごろから順次、コアスイッチの入れ替えを行っており、大規模拠点ではスイッチをQFX/EXシリーズに置き換えて、設置面積を従来の2分の1、消費電力を3分の1に軽減したとしている。
さらに、2018年中にSRXシリーズの導入を進め、ジュニパーが提唱する「Software-Defined Secure Network(SDSN)」を活用することで、安全性と効率性を両立したネットワークの実現を目指している。