IDC Japanは9月12日、国内のモノのインターネット(IoT)市場におけるテクノロジ別の支出額予測を発表した。2017年の支出額は5兆8160億円規模。2017~2022年に年平均成長率(CAGR)15.0%で成長し、2022年の支出額は11兆7010億円になると見ている。
IDC Japanでは、IoT支出額を「ハードウェア」「コネクティビティ」「ソフトウェア」「サービス」という4つの技術群に分けて予測する。その結果、ソフトウェアとサービスの支出割合は継続的に増加し、2022年に合計61.1%に達すると予測している。一方、ハードウェアとコネクティビティはIoTに関わる製品、サービスのコモディティ化に伴うユニット単価の下落によって、支出額の割合は徐々に低下していくと見ている。
国内IoT市場 支出額予測と技術グループ別支出割合推移:2017~2022年(出典:IDC Japan)
IDC Japanによると、予測期間の前半ではハードウェアの支出額割合が最も大きい。組立製造業、プロセス製造業、電力業など、大規模設備を保有する企業では、信頼性や耐久性を備えかつ多様な機能を持ったセンサ、モジュールを多く使っている。それが「ハードウェア」に対する支出を押し上げる要因の一つとなっている。
コネクティビティについては、流通業やサービス業による支出割合が大きい傾向が見られる。これは輸送貨物管理などのユースケースにおいて、国内外に出荷する貨物のトラッキングを実現する上で、モバイル通信、固定通信、近距離無線通信、衛星通信といったさまざまなタイプの通信サービスを組み合わせて利用していることが関係していると指摘する。
ソフトウェアは4つの技術グループのうち最も早いスピードで支出額が増加する。その要因として、製造業でIoTの利用環境がオンプレミスからクラウドへの移行が進むことや、新規にIoTクラウドプラットフォームを導入するケースが増加することを挙げている。また、個人消費者のスマートホーム(ホームオートメーションやスマート家電)を実現するアプリケーションへの需要が高まることが見込まれ、ソフトウェアへの支出が加速すると見ている。
サービスについても、ソフトウェア支出の急速な拡大に伴い高い成長性が期待される。例えば、公共交通/情報システムや公共安全システムにおける付加価値創出を目的として、IoTシステムの導入/運用サービスへの支出が増大する。また、スマートグリッドにおける電力利用量の予測分析や、電力供給の最適化を目的としたサービスに対する支出も今後急速に拡大することが見込まれる。