日立製作所は10月3日、生活習慣病に起因する将来の入院リスクを予測するシミュレーションサービス「Risk Simulator for Insurance」を開発し、販売開始すると発表した。
このサービスは、医療ビッグデータを日立独自の人工知能(AI)で活用するもので、8大生活習慣病発症による入院の可能性とその日数を予測するほか、標準値として任意に指定する健康状態とのリスクを比較することができる。
同サービスでは、健康診断での各種検査数値や生活習慣・服薬に関する問診項目や一般的な生命保険の加入時に必要な過去の既往症に関する告知事項など、200を超える要因を組み合わせる。このサービスを利用することで、生命保険会社における保険引き受け基準の妥当性検証や、多様な商品開発の検討に適用できる。さらに健康保険組合での保健指導や健康増進産業による疾病予防サービスの創出といった、さまざまなヘルスケア関連産業においても幅広く利用できる。
Risk Simulator for Insuranceの概要図(出典:日立製作所)
日立は2014年、日立健康保険組合が保有する約11万人の健診やレセプトデータをもとに医療費予測技術を開発し、組合員の健康改善や医療費抑制に向けた保健指導に活用している。また、2016年には第一生命との共同研究を開始し、第一生命が蓄積してきた約1000万人の医療ビッグデータをもとに、両社の有する技術やノウハウ・知見を組み合わせて、「生活習慣病に起因する入院の可能性とその日数」を予測する定量評価モデルを開発している。
今回開発したサービスは、これらのノウハウを生かしたもので、データ購入費、分析委託費、環境準備といった投資を抑えながら、検査値や生活習慣、服薬・既往歴などの情報を設定するだけで迅速に分析結果を算出できるようにしている。
今回は第一弾として、糖尿病、脳血管疾患をはじめとした8つの疾病を予測対象とした。今後、対象疾病の拡大や手術や医療費予測といったシミュレーション範囲の拡充など機能強化も視野に入れている。利用価格は個別見積り。