コミュニケーションを軸にアジャイル開発を加速する「Mendix」

柳谷智宣 2018年10月12日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 本連載では、ビジネスで利用するITサービスの最新動向について、最前線を走る企業への取材を軸に紹介する。複数回で同じテーマを追いかけて、今後注目すべきテクノロジやサービスを取り上げる予定だ。今回は「ローコード/ノーコードプラットフォーム」をテーマにした第9回目で、「Mendix」のソリューションプロバイダであるビルドシステムに話を聞いた。

aPaaSを提供する「Mendix」
aPaaSを提供する「Mendix」

コミュニケーションを軸にスクラム開発を加速するサービス

 Mendixは2005年に米国ボストンで設立。2011年ごろから大型の資金調達を実施し、急成長している企業だ。ローコードプラットフォームの「Mendix」を開発しており、グローバルでサービスを提供している。2018年8月には、ドイツのSiemensに7億ドルで買収された。

 ビルドシステムは、2016年に販売代理店契約を締結し、Mendixのサービスを国内展開している。ちなみに、今回の買収でもMendixとの関係は変わらず、これまでと同じ体制のままとなる。

 「われわれは、国内初のMendix代理店で、市場を作っていくことが役目だと考えている。競合他社とどのように差別化し、アピールするかを心掛けている」と語ってくれたのは、ビルドシステム 高速開発ソリューション部 部長 国吉健一氏。

Mendixで国内初の販売店になるビルドシステムのウェブサイト
Mendixで国内初の販売店になるビルドシステムのウェブサイト

 Mendixも競合サービスと同様、デジタル変革時代にIT部門が抱える課題を解決すべく、モデル駆動型のaPaaS(Application Platform as a Service)を提供している。最新の技術を低コストで利用でき、開発から展開までのスピードを向上、複雑な業務に対応するアプリケーションを迅速に開発できる。

ビルドシステム 高速開発ソリューション部 部長 国吉健一氏と同 課長 小野寺未央氏(左から)
ビルドシステム 高速開発ソリューション部 部長 国吉健一氏と同 課長 小野寺未央氏(左から)

 Mendixの一番の特徴は、アプリケーションを開発する際のコラボレーション機能にある。ポータルサイト上では、要望を出す側であるビジネス部門が提示した要件を、技術部門が分解して実際の開発タスクに落としていく。

 「スクラム開発の工程を追いかける機能や構成管理機能の『Subversion』も搭載しているので、プロジェクトの管理ツール別に用意する必要がない。プロトタイプを作るところからスタートして、現場のビジネス側と開発する技術側がどんどんコミュニケーションしながら、スクラムを進められるのが特徴だ」(国吉氏)

Mendixの特徴は、開発ポータル上でビジネス部門と技術部門がコミュニケーションしたり、進捗を管理したりできる点にある
Mendixの特徴は、開発ポータル上でビジネス部門と技術部門がコミュニケーションしたり、進捗を管理したりできる点にある

 アプリを開発する工程の管理やコミュニケーション機能を備えている点がユニークだ。このことからも分かるように、Mendixは現場のビジネスパーソンが自分たちで複雑なアプリケーションを作成するのは難しい。

 「プログラミングは不要だが、複雑なアプリケーションだとシステムエンジニアくらいのレベルでないと作成できない。システムの設計ができる人たちが、少数で高速開発できるツールというイメージになる」(小野寺氏)

 いわゆる“シチズンデベロッパー”向けではなく、あくまでも技術部門のような開発者を対象としている。もちろん、シンプルな要件のアプリケーションであれば、現場のビジネスパーソンでも開発できるとのこと。

 そもそも、ビルドシステムは1995年に設立され、受託開発業務を主に手がけてきた。社員数は40人で、そのうち35人がエンジニアという構成だ。それなのに、ローコード/ノーコードプラットフォームを扱うようになったのはなぜなのだろうか。

 「今後、デジタル変革によってアプリケーションの数が爆発的に増えていく中で、開発者が大幅に不足することは明らかだ。仮にわれわれが受託したとしても、そんなにたくさんのリクエストを受け切れない。どうやってお客さまの要望をクイックに実現するのかを考えたときに、これまでとは全く違うスピード感で開発しなければいけないというのが出発点にある。今後ビジネスとして見たときに、スクラッチで開発するのではないはずだと考えた」(国吉氏)

 そんな課題意識から、2012~2013年ごろからさまざまなプラットフォームを調べ、試したという。もちろん、スピードを重視しているのだが、それ以外にも顧客のニーズに応えるために、メーカー側のサポートや機能改善も重要になる。2015年当時、Mendixは日本でほとんど知られていなかったが、既にグローバルでは高い評価を得ているローコード/ノーコードプラットフォームの一つだった。

 そこで同社からコンタクトを取り、日本で初となる代理店契約を締結した。Mendixは当時、アジア向けに展開していなかったのだが、それぞれハードルをクリアしていったそうだ。

 「Mendixの本社は米国だが、技術部門はオランダにある。われわれの技術部から問い合わせをしたときの反応は早く、マーケティングのバックアップもしてもらっている」(国吉氏)

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]