ファイル消失問題を招いた「Windows 10 October 2018 Update」、フィックスがリリース

Ed Bott (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2018-10-10 10:53

 Microsoftは米国時間10月9日、「Windows 10」の最新機能アップデートである「Windows 10 October 2018 Update(バージョン1809)」に存在していた問題を特定できたため、「Windows Insider Program」参加者にフィックスを提供開始すると発表した。同社はこの問題によって、アップデートの一般提供を、開始後わずか数日で中止するという異例の対応をとっていた。

 Microsoftが同社ブログに記したところによると、このバグの影響を受けた顧客は少数であり、「報告されているデータ喪失」の割合は、「バージョン1809がインストールされた端末のうちの1%の100分の1」だという。同社は以下のように記している。

 われわれは、報告されたデータ消失の事例すべてについて詳細に調査したうえで、今回のアップデートに含まれていた既知の問題をすべて洗い出して対処し、社内での検証も実施した。また顧客に対しては、Microsoftサポートの担当者や、小売店舗の顧客サービス担当者による支援を無償で提供する。

 Microsoftは更新したバージョンをすぐに一般公開するのではなく、当初はWindows Insider Programの対象デバイスに対するリリースに限定すると述べている。具体的には、今回の新ビルドは「Slow」リングか「Release Preview」リングを選択しているデバイスに配信される。

 また無事にアップデートを適用できた利用者に対しては、同日付で初めての累積アップデート(KB4464330)が公開されている。特定の「Group Policy」(グループポリシー)を適用するとユーザープロファイルが削除されるという不具合のフィックスも含まれる。

 MicrosoftでWindowsのサービスおよび調達に関するプログラム管理の責任者を務めるJohn Cable氏によると、当初の問題は既知のフォルダをリダイレクトする「KFR」という機能を有効にしている状態で、元々のロケーションに一部のファイルが残されていたシステムで発生したという。このため例えば、「ドキュメント」フォルダをユーザープロファイル中のロケーションから、セカンダリデータドライブなどの新たなロケーションに移動したものの、古いロケーションに一部のファイルが残っていた場合、バージョン1809へのアップグレードを行うセットアッププログラムは古いロケーションにあるフォルダを、その中に格納されたファイルごと削除してしまっていた。

 この問題は、筆者が過去の記事で推測していた通り、「OneDrive」に最近導入された「Auto Save」(自動保存)機能を使用している一部のシステムでも発生する。Auto Save機能は、「デスクトップ」や「ドキュメント」「ピクチャ」フォルダのコンテンツをクラウド上の対応するロケーションに再配置するというものだ。こういった設定でも、一部のファイルが古いロケーションに残っている場合に今回の問題が起きる。

 Microsoftは、この件について詳細に調査し、データ喪失が発生するすべてのシナリオにおける問題を解決し、当初のフォルダと、再配置したフォルダに格納されたすべてのファイルに手をつけないようにしたと述べている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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