福島県、繁殖農家の営農再開を支援する実証実験--和牛の個体情報を一元管理

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2018-12-12 13:31

 福島県と富士通エフサスは、繁殖農家の営農再開を支援する実証実験を開始した。阿武隈地域の農場において、発情監視装置、分娩監視装置、個体監視装置などを導入し、各装置と繁殖和牛の個体情報の連携と、装置から収集したデータの蓄積・分析を行う「個体一元管理システム」を構築、同システムの有効性を実証する。

実証実験の全体概要
実証実験の全体概要(出典:富士通エフサス)

 福島県では、東日本大震災後の原発事故に伴う避難指示などにより、住民の帰還が進まず、農業従事者の担い手不足や飼養頭数の減少が進行し、営農再開を阻む大きな要因となっていた。今回の実証では、「個体一元管理システム」を活用し、農業従事者のシステム操作の負担軽減を図りながら、蓄積したデータに基づく飼養管理や遠隔地からの繁殖和牛管理の実現性を検証していく。

 今回の実証が成功すれば、より正確な発情発見による繁殖成績の向上や分娩予知による事故の防止、疾病の早期発見による損耗防止が見込まれ、大規模繁殖農場経営体の育成や収益性の大幅な向上が期待できる。また、遠隔地からでもスマートフォンやタブレット端末を用いて農場管理が可能になることで、農業従事者の負担軽減が図れ、担い手の減少傾向にも歯止めをかけることが期待される。

 発情監視装置は、繁殖和牛にセンサを取り付け、行動量の情報を収集・分析することで、効果的な発情発見や早期の異常検知が可能にする。

 また、分娩監視装置は、分娩房にモーションカメラを取り付け、分娩房に入った繁殖和牛の行動分析・監視を行うことで、より正確な分娩予知と、その後の分娩事故などの未然防止が可能になる。

 個体監視装置は、遠隔カメラで牛舎全体を監視し、離れた場所からでもスマートフォンやタブレット端末などを通して内部の確認や早期の異常発見が可能にする。

 同システムには、農業認証「JGAP(Japan Good Agricultural Practice)」に準拠したチェックシートを実装し、安心・安全な繁殖和牛の飼育を支援する。

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