“デジタル変革”などが叫ばれる昨今、企業経営にITは欠かせない存在となっている。その一方で、組織内のIT環境は複雑化の一途をたどり、従業員であるエンドユーザーから寄せられた問い合わせやトラブルなどのインシデントに迅速に対処することが難しくなっている。そのパフォーマンスは業務の遂行に多大な影響を与えることになる。

Lakeside Software CEOのMichael Schumacher氏
ワークスペース分析ソリューションを提供するレイクサイドソフトウェアでは、従業員のユーザーエクスペリエンスを最適化しながらコスト効率の良いIT運用を目指すための仕組みとして「AIOps」に注力している。エンドポイントから収集した情報を分析し、パターン認識や予兆検知、原因分析を行うことで、人に代わってソフトウェアでIT運用を効率化しようというものだ。
同社では、AIOpsを「Algorithmic IT Operations」と定義。複雑な条件やアクションを検知するアルゴリズムを「センサ」として事前定義することで、アプリケーションの起動時間、クラッシュ頻度、ネットワークの再送レートの増加などの挙動、性能、発生パターンに関する問題をリアルタイムに検知する。組織内のIT環境全体を監視することで、何らかのインシデントが発生する前に事前対処することが可能になる。
レイクサイドソフトウェアは、ワークスペース分析ツールの最新版「SysTrack 8.4」を2018年9月に提供開始した。IT運用支援ツール「SysTrack AIOps」を実装し、人工知能(AI)を活用して問題のパターンを自動で認識して解決するまでの時間を短縮する。

AIOpsツールの画面イメージ
さらに、エンドユーザーによる自己診断機能として「Tray App」も搭載した。センサなどで検知した情報をエンドユーザー自身で確認し、自己解決できるように支援する。これによって、IT部門で受け付けるインシデント数を減らし、ヘルプデスク業務の効率化を支援する。
「人件費や時間的な投資をすることなくサービス全体の品質改善と今までにないシンプルなIT運用を可能にする」(Lakeside Softwareの創業者で最高経営責任者〔CEO〕のMichael Schumacher氏)
また、自然言語によるフィードバックを収集し、AI基盤「IBM Watson」を利用して、スコアを自動計算する機能や、モニタ・プリンタ・USBデバイスなどシステムに接続しているハードウェア情報を視覚化する機能なども実装されている。
「Splunk」「ServiceNow」「Microsoft System Center Operations Manager」といった外部のITサービス管理ツールとも連係する。これらのツールを用いて、SysTrackで収集したエンドポイントのデータを活用することが可能だ。
ちなみに、日本法人であるレイクサイドソフトウェアは、設立から1年が経過した。直近では、Windows 10への移行や大規模VDI(仮想デスクトップ基盤)環境構築のためのアセスメントツールとして、SysTrackを活用するケースが多いという。
「われわれは、今後もアナリティクスとデータを活用して、自己解決型の“レベル0サポート”を実現する」(Schumacher氏)
Windows 7のサポートが2020年1月14日に終了する。2019年10月には消費税が8%から10%に増税される。こうした背景から、2019年はWindows 10への移行や仮想デスクトップの導入などが大きく進むと予想される。そうした大規模なシステム変更を支援するためのツールの一つとして今後もニーズが拡大していきそうだ。