海外コメンタリー

自動車での利用が広がるLinux

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2019-01-15 06:30

 Linuxはあらゆるところで利用されているが、これには自動車も含まれる。Teslaなどの一部の企業は独自のLinuxディストリビューションを持っているが、多くの企業は「Automotive Grade Linux」(AGL)に頼っている。AGLは140社以上のメンバー企業が参加する、コネクテッドカーのオープンプラットフォームを開発するための業界横断的な取り組みだ。

 AGLはLinux Foundationを基盤とした組織で、Linuxを利用している著名な自動車メーカーが名を連ねている。メンバー企業には、本田技研工業、マツダ、Mercedes-Benz、スズキ、そして世界最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車が含まれる。

 なぜこのような取り組みが行われているのだろうか。AGLのエグゼクティブディレクターDan Cauchy氏は、「自動車メーカーはソフトウェア企業になりつつあり、テクノロジ業界と同じように、オープンソースこそ目指すべき方向であることに気づきつつある」と述べていた。自動車メーカーは、動力性能も重要だが、顧客はスマートインフォテインメントシステムや自動的に作動する安全運転機能も欲しがっており、いずれは自動運転車も求められるようになると考えている。Linuxやオープンソース企業は、それらをすべて提供できる要素となる。

 AGLの目的は、オープンソースのインフォテインメントシステムなどのための共通プラットフォームである「Unified Code Base」(UCB)を開発することだ。UCBはLinuxディストリビューションの1つであり、自動車のインフォテインメント、テレマティクス、メーターパネル用のオープンソースソフトウェアプラットフォームだ。このプラットフォームは、Linuxを利用する自動車に必要なコードの約7割をカバーする狙いがある。自動車メーカーや部品メーカーは、UCBをカスタマイズして、自社の自動車に必要な機能やサービス、ブランディング要素を追加することができる。

 AGLが目指すのは、業界のデファクトスタンダードとしてこれを提供することだ。実際、それは実現しつつある。

 このやり方は、これまでにもオープンソースソフトウェアの世界では何度も成功している。委員会を組織して何年もかけてルールについて議論し、机上で規格を作るよりも、企業が力を合わせてコードを書き、プログラムやハードウェアをその数分の1の時間で生み出す方が生産的だ。

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