東京海上日動火災保険と日立製作所は1月16日、製造設備の予兆診断データをもとに対応費用など補償する保険を組み込んだ新サービスの提供を発表した。製造分野での事故を未然に防ぐ運用や保守の普及を促進したいとしている。
新サービスについて両社は、東京海上日動が保有する事故データや先進的な保険サービスと、日立のIT/製造デジタル技術やノウハウを融合させた新たな取り組みと位置付ける。日立のIoTとAI(人工知能)による予兆診断技術を活用して、従来の物的損壊を要件とした保険に加え、予兆検知を起因に製造現場側における対応費用などを補償するという。
提供する狙いについて両社は、製造設備の安定稼働や生産性の向上において熟練技能者の経験やノウハウに依存する現状がある一方、労働人口の減少から熟練技能者の確保が困難となり、熟練技能の継承が喫緊の課題だと説明。これに対し、設備稼働データなどを活用するデジタル技術が期待されることから、その普及を促す必要性があるとしている。
新サービスを皮切りに日立は、IoTプラットフォーム「Lumada」の製造業向けデジタルソリューションのラインアップを拡充させるほか、東京海上日動の損害保険に関するノウハウと日立の予兆診断やデータ分析のための各種技術を組み合わせた新しいリスク分析モデルを構築するという。
両社は、既に一部の化学メーカーで実証実験を進めているといい、他業種や海外の製造現場への展開も視野に入れているとしている。