日本IBMは1月18日、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの最新版「Cognos Analytics 11.1」に関する製品説明会を報道機関向けに開催した。人工知能(AI)を活用することで、煩雑なデータ整備や困難なデータ分析を自動化し、数理統計や操作方法に詳しくないユーザー層の利用拡大を狙う。
バージョン11.1は2018年11月23日から提供を開始している。最大の特徴はデータ分析作業の随所にAIが組み込まれている点だ。(1)データの加工・結合・モデリング、(2)データの内容・相関関係の解析、(3)データ可視化・分析手法の選定、(4)自然言語による対話的な応答――といった処理の多くの部分をAIで自動化する仕組みになる。
IBMクラウド事業本部 アナリティクス事業部 Products&Solutions 統括部長の村角忠政氏
例えば、CSVファイルなどの生データをCognosにアップロードすると、AIがデータの種別や特性を判別し、データの相関分析や加工・結合、モデル生成まで自動的に行ってくれる。これにより、煩雑なデータ整備をAIが自動化し、直ちに分析を開始できるようになる。データ分析の業務において、データの整備に8割の時間が費やされているといわれる。この時間を極小化することで、肝心の分析にかけられる時間を多くしようというわけだ。
また、従来のセルフサービスBIツールは、結局のところ、一部のスキルの高いユーザーだけがツールを駆使して洞察を発見していたという。Cognos Analytics 11.1では、自然言語による対話型の質問が可能になっており、ツールの操作に不慣れなユーザーでも、AIが最適な分析手法を提示しながら、一般ユーザーでも容易に洞察を獲得できるとする。
Cognosでは、一つ前のバージョンでセルフサービス機能を強化。一定の評価を得ていたものの、例えば、ダッシュボードを閲覧するだけの利用者にとって本当に使いやすいものになっているかという疑問があった。その疑問に答えるには、AIによる自動化が必要だったという。
「データサイエンティストに限らず、誰もが使いこなせるツールにするには、AIを活用して一般ユーザー向けにデータ分析を自動化する必要があった。AI機能の拡張を打ち出しているBIベンダーは増えているが、現時点でちゃんと実装できているのはIBMだけだ」とIBMクラウド事業本部 アナリティクス事業部 Products&Solutions 統括部長の村角忠政氏。
また、Cognosを今後、ガバナンス機能をはじめとする従来型のエンタープライズBIと、使いやすさやビジュアルに特化したセルフサービスBIを共通基盤で提供する、統合BIプラットフォームとして打ち出していく方針も明らかにした。
エンタープライズBIとセルフサービスBIの違い
最新版の提供開始に合わせて、月額9700円で1ユーザーから利用可能な「Premium Editon」もクラウドで用意する。部門向けには「Workgroup Edition」、全社向けには「Enterprise Edition」をラインアップする。それぞれに機能制限はないが、マルチテナント、シングルテナント、ベアメタルなどの実行環境は異なる。