セールスフォース・ドットコムは、2018年のユーザーカンファレンス「Dreamforce 2018」で目玉の1つとして発表した「Einstein Analytics Plus」の提供を開始した。1月22日に同機能に関する説明会を開き、特徴などを解説した。
Einstein Analytics Plusは、2015年から提供しているAI(人工知能)・ビッグデータ分析機能群「Einstein Analytics」「Einstein Discovery」「Analyticsテンプレート」などをセールス、カスタマサポート、マーケティング向けクラウド「Customer Success Platform」に統合したもの。AI機能を組み込むことで、ユーザーは単一のインターフェース上でデータの探索や分析ができ、サービスが提示する洞察や予測、推奨アクションを業務効率化や業績向上に役立てられるとしている。
セールスダッシュボードにおけるEinstein Analytics Plusの通知。顧客との成約高7億円を9億円にできる可能性があり、その根拠とユーザーに推奨アクションが示される
マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャーの大森浩生氏は、「10年以上前からレポート・ダッシュボードなどを通じてユーザーがデータから洞察を得られる環境作りを進めてきた。パーソナルBI(ビジネスインテリジェンス)が登場しても、データ分析は専門家や詳しいユーザーの利用にとどまったが、AIによってどんなユーザーでもデータ分析を通じて目指すゴールへたどり着けるようになった」と話す。
Einstein Analytics Plusでは、ユーザーがダッシュボードのボタンをクリックするだけで、膨大なデータの自動分析と分析結果の説明、結果に基づく推奨アクションの一覧が表示され、ドリルダウン操作で詳しい内容を把握できるようになっている。「AIがなぜ、その結論を導き出したのかという根拠をユーザーに示すようにしている。理由を説明できるAIの透明性が重要なポイントになる」(大森氏)
サポートダッシュボードでのAI分析による詳細な結果の一例
大森氏によれば、Einstein Analyticsでは1カ月当たり約5兆8000万行のデータを分析しており、このうち同社が提供するコネクタを通じて連係する外部の統合基幹業務システム(ERP)やサプライチェーン管理(SCM)、人材管理(HCM)などのデータは同1兆行になる。Einstein Analytics Plusでは、同社が2018年に買収したデータ統合プラットフォームのMuleSoftを利用することで、これまで以上に広範な外部システムとデータ連携できるようになった点が特徴だという。また、ベストプラクティスのKPI(重要業績評価指標)を組み込んだ分析目的別の50種類以上のテンプレートや、初心者ユーザー向けのトレーニングメニューも用意している。
デモンストレーションを行ったアナリティクススペシャリストの久保良太氏は、「ダッシュボートからAIを使うことで、分析予測を活用した業務の改善やプロセスの短縮を実現できるようになる」と説明した。