ガートナージャパンは1月24日、顧客関係管理(CRM)と顧客体験(CX)に関する2019年の技術展望を発表した。2021年までに全世界における顧客応対の6分の1近くが人工知能(AI)で処理されるようになり、2025年までに顧客接点にAIを採用する企業は、業務効率を25%改善すると予測している。
また、会話型の自動応答やロボットによる業務自動化(RPA)をはじめとするAIシステムが成熟することで、セルフサービス型の顧客応対が占める割合は、2018年の50%から2022年には64%に増加するという。
同社の調査では、顧客サービスを組織化する企業の36%がAI技術を利用または使用していることが明らかになっている。各接点でAIを活用することで顧客に関する洞察を獲得し、セルフサービス機能の向上や予測モデルの改善につなげるとともに、音声自動応答(IVR)・ケース管理・フィールドサービスの自動調整といった既存機能を強化できるとしている。
また今回の展望では、顧客戦略の策定に当たり、戦略責任者はAI、チャットボット/仮想アシスタント(VA)、拡張現実/仮想現実(AR/VR)、リアルタイムケイパビリティ、データプライバシーなどについて、幅広い観点から見解を持つ必要があるとしている。
例えば、チャットボットは今後数年で急速に進化・成熟するが、一方でユーザーの反発を招く恐れがあるとしている。また一般に、CRMには膨大な量の個人情報が含まれ、長期にわたって保持されているため、「GDPR(一般データ保護規則)」に対する違反を引き起こす原因になる可能性があるという指摘もされた。 さらに今後は、ネットワークでつながった顧客サービスのエコシステムが重要度を増し、2023年までに顧客サービス案件の40%はエコシステム内の兆候やセンチメントを検出することで開始されるようになると予測している。