マイクロソフト、「HoloLens 2」発表--約39万円、視野角は2倍に - 4/18

Ian Sherr Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 編集部

2019-02-25 08:26

 快適でより見えやすく、手で簡単に操作できる。Microsoftは「HoloLens 2」をそのようにアピールしているようだ。

 HoloLens 2は3500ドル(約38万8000円)。Microsoftが2015年に発表した「HoloLens」の後継モデルだ。同社が「Mixed Reality」(複合現実:MR)と呼ぶ、コンピュータ画像を実世界の上に重ね合わせる技術を搭載する。

 Microsoftは、拡張現実(AR)分野のパイオニアの1社だ。2015年に同社初のヘッドセットを発表し、企業向けには5000ドルで販売した。その後、2295ドルの「Magic Leap One」など、競合するデバイスが市場に登場するようになった。

 そのような価格のMRヘッドセットは、市場で提供されている競合する拡張現実(VR)技術よりもはるかに高額だ。Facebookの「Oculus Rift」は349ドル、ソニーの「PlayStation VR」は299ドルとなっている。

 それでもMicrosoftは、ヘッドセットの改良を続け、今や当時よりもはるかに競争が激しくなったAR分野の取り組みを押し進めてきた。Microsoftによると、HoloLensはまだ、一般ユーザーが家庭で使用できる状態には達していないという。企業や軍にフォーカスしている。

 Microsoftは、このデバイスにいくつかの魅力的な改良を加えた。HoloLens 2はまず、米国、日本、中国、ドイツ、カナダ、英国、アイルランド、フランス、オーストラリア、ニュージーランドで提供される。米国時間2月24日より予約受付を開始しており、年内に出荷される予定だという。

 最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏は、バルセロナで開催されるMobile World Congress(MWC)に合わせて行われたHoloLens 2の発表に際し、「コンピューティングは、私たちの世界のいたるところにあらゆる方法で組み込まれている」と述べた。「コンピューティングは、コネクテッドカーからコネクテッド冷蔵庫、スマート手術器具、さらにはスマートコーヒーマシンにいたるまでのあらゆるものに搭載されている」(Nadella氏)

 それがMicrosoftのような企業がこの技術にアプローチする方法につながっていると同氏は述べた。「もはやデバイスファーストではなく、人を第一に考えるということであり、それには人々の生活の中にあるすべてのデバイスが含まれる」(Nadella氏)

 「それは単なる想像の世界ではない。未来は今、目の前にある」

 米CNETは先日、ワシントン州のレドモンド本社で同氏の話す未来の一端を見てきた。またHoloLens 2について、Microsoftの幹部やテクニカルフェローのAlex Kipman氏ら設計者に話を聞いた。

 以下では、MicrosoftがMWC 2019に合わせてバルセロナで発表した中で、知っておきたいことをまとめた。

3500ドル。現時点ではまだ一般ユーザー向けにはなっていない

 HoloLens 2は、製造業の作業員、工業デザイナー、軍事従事者などのユーザーや、現場作業員がハンズフリーで作業しなければならない状況などを主な対象として設計されている。

HoloLens 2のアイトラッキング(視線追跡)機能

 HoloLens 2は、鼻筋部分付近に装着者の目の向きにセンサが取り付けられている。この技術は、ユーザーによるデバイスへのログインと、ヘッドセットを複数のユーザーで共有する場合の個人設定の保存に利用される。虹彩認識機能が搭載されており、「Windows Hello」と連携して、HoloLens 2へのログインを処理する。

ハンドトラッキング能力も向上

 「Magic Leap One」やさまざまなVRヘッドセットには専用のコントローラが提供されているが、HoloLens 2にはそれがなく、手と「Cortana」を介した音声で制御される。

視野角は2倍に

 最も注目すべき改善点はおそらく「視野角」だ。前モデルに比べて約2倍となった。

メガネを考慮

 MicrosoftのHoloLens 2は、(Magic Leap Oneなど)多くのARヘッドセットやスマートグラスとは異なり、メガネのことも考慮して設計されている。新しい跳ね上げ式のバイザーのおかげでさらに装着しやすくなっており、筆者らのうちメガネをかけている者が何人か試してみたところ、支障なく使えた。

新アプリ

 Microsoftは、新しいHoloLens向けアプリも発表した。1つは「Dynamics 365 Guides」で、企業はこれを利用してガイド式の指示手順をMRで作成できる。

 「Dynamics 365 Layout」は、現在いるビルの持続的な地図を作成し、Microsoftに保存する。これにより、たとえば室内のテーブルにホログラムを配置し、その部屋を出て翌日に戻ってきたり、別のHoloLensヘッドセットを装着したりしても、ホログラムはそのまま同じ場所にとどまっているという。

 HoloLens 2は新しいクラウドアプリに対応するが、セルラー接続デバイスは付属しないため、Wi-Fiを介して接続することになる。

オープンシステム

 Microsoftによると、誰でもHoloLens 2用のアプリストアを作ることができるという。Mozillaのような組織が、「Firefox」ブラウザをHoloLens 2に対応させることもできるようにもなる。さらにEpic Gamesのような開発業者でもHoloLensのためのコーディングツールを作成できるようになるとMicrosoftは述べている。

 Microsoftは、向こう1~2年以内にHoloLens 2の後継モデルを発表する計画だという。

 MicrosoftのテクニカルフェローのAlex Kipman氏は、このデバイスのプロトタイプはMicrosoftが米陸軍との4億8000万ドル(記事公開当時の換算レートで約545億円)の大型契約を獲得するのに貢献したと述べた。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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