Intelは、量子コンピューティングソリューションの開発加速を目指し、「Cryogenic Wafer Prober」という低温試験装置を開発したと発表した。この装置は量子ビットを計測し、量子ノイズの発生源や量子ドットの品質に関する情報をわずか数分で収集できる。
Cryogenic Wafer Prober
この「Cryogenic Wafer Prober」は、Intelが、無冷媒希釈冷凍システムを専門とするフィンランド企業Blueforsと、微小電気機械システムの試験ソリューションを提供している企業Aforeとの共同で開発したものだ。
Intelによれば、量子コンピューティング研究のもっとも大きな課題の1つは、データの収集とデータへのアクセスだという。これまで、すべての量子プロセッサは、低温の希釈冷凍装置の中で何カ月もテストを行う必要があった。
例えば、通常の300mmウェハの半導体は約1時間で試験が完了するが、量子コンピューティングの場合、絶対零度に近い超低温で量子ビットのターンオン特性を計測する必要がある。Intelによれば、Cryogenic Wafer Proberが開発される以前は、量子ビットの電気特性評価に時間がかかっており、非常に小規模なデータのサブセットを収集するのにも数日かかっていたという。
同社は、Cryogenic Wafer Proberを使用することで、数ケルビンに冷却した300mmウェハ上の量子ビットをテストできるようになると述べている。ただし現時点では、どの程度の速度で情報を抽出できるかは明らかにされていない。
この新しいツールは、スピン量子ビットに関する情報の収集を自動化することができるという。収集できる情報には、量子ノイズの発生源、量子ドットの品質、スピン量子ビットの形成で重要になる材料などが含まれる。
Cryogenic Wafer Proberは、オレゴン州の拠点に数台設置されている、量子コンピューティング用希釈冷凍装置の近くに設置される予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。