Google検索のようなシンプルさで企業のデータを分析できるプラットフォームを作りたい――。創業6年の新興企業である米国ThoughtSpotは、自分たちを“BIベンダー”ではないと主張する。ビジネスインテリジェンス(BI)市場において、検索とAI(人工知能)を重視したエンタープライズデータ分析プラットフォームを提供する。
ThoughtSpot 最高経営責任者(CEO)のSudheesh Nair氏
例えば、Googleで「天気」と検索すると、最も関連性の高い検索結果が表示されるのとはほかに、ユーザーの位置情報から現在地の天気を教えてくれたり、関連するニュースやキーワードを提案してくれたり、さまざまな洞察を得ることができる。
ThoughtSpotの狙いは、Googleで検索するのと同じような操作性で、企業のデータを高速に検索し、容易に可視化できるようにすることにある。その中核となるのが「SpotIQ」と呼ばれるAIエンジン。自然言語でのデータ分析に対応し、データ分析に関する知識やスキルがなくても、平易な言葉で質問を入力するだけで、AIがその文脈を解釈してデータを可視化し、そこから洞察を得られるようになる。
「経営層や現場担当者など、データ分析の専門家でなくても日常の業務の中でデータを有効活用できるツールが必要だ。自然言語なら誰でも検索できる。Googleのようにキーワードやフリーワードを入力すると、AIがその文脈を解釈して、最適なインサイトを提示する」(Nair氏)
SpotIQは、ユーザーからのフィードバックを集めて何が重要であるかを学習し、インサイトを抽出するためのアルゴリズムを自動で調整することが可能だという。また、データやグラフの理解を深めるため、説明文を自動で生成してくれる機能も備えている。
「ダッシュボードやレポーティングといったツールでは、質問形式でインサイトを導き出すことはできない。ThoughtSpotは、検索とAIを活用した企業向けの次世代分析プラットフォームだ」(同氏)
同社が開発したリレーショナル検索エンジンとインメモリデータベースを組み合わせ、数億行のデータに対する検索クエリを数秒以内に処理することが可能。検索機能のほかにも、“ピンボード”と呼ばれる動的なダッシュボード機能を搭載する。ユーザーがアクセス権を持つデータを表示でき、必要に応じてより詳細な情報にドリルダウンすることもできる。その際にも、SpotIQが分析作業を支援する仕組みとなっている。
ThoughtSpotの仕組み
Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などのパブリッククラウド、各種SaaSサービス、オンプレミスシステムなど、さまざまな環境に置かれたデータを横断的に集め、データ分析に活用することができる。
現在、2019年中をめどに日本法人の設立を目指しており、水嶋ディノ氏がカントリーマネージャーに就任している。
「日本企業には非常に多くのデータが眠っている。ただ、眠っているだけでは意味がない。インサイトへのアクセスを民主化しないといけない。そのためにはAugmented Analyticsが必要になる。ThoughtSpotは、データから得るインサイト(洞察)を知識に変え、アクションへと変えていくためのプラットフォームを提供する」(Nair氏)