3Gや4Gの場合と同様に、5Gに関してベンダーが作り出した売り文句はある意味、本末転倒だと言える。「それを作れば彼らがやってくる」という従来のアプローチは5Gには通用しないだろう。5Gのユースケースと称している例のあまりにも多くが、既存の接続ソリューションの組み合わせによって実現できるものだったり、財務面から見れば夢物語、言い換えれば現時点でしばしば経済的に現実的でないものとなっている。
皮肉なことに、潜在的5Gユーザーの懐疑的な見方は中長期的には5Gにとってプラスに働く可能性が高い。5Gに対する期待が低いほど、期待を上回るのが容易になる。筆者は、5G展開のシナリオの後には、4Gやその他の「レガシーな」標準の償却のようなサイクルが続くと考えている。言い換えれば、4Gに対する資本支出が5Gに対するそれに置き換わっていくなかで、5Gが徐々にネットワークインフラに導入されていくということだ。
その後、5Gの潜在的な可能性が開花し、超高速なモバイルブロードバンドを通じた従業員や顧客のエンゲージメントの向上や、大規模マシンタイプ通信(mMTC)によるIoTソリューションのサポート、超高信頼性かつ低レイテンシな通信による新たなビジネス機会の創出などが実現される。このためMWCでは、5Gに関する大仰な売り文句が聞こえてきたとはいえ、5Gの道を整える重要なマイルストーンに到達したと感じられた。
(ForresterのプリンシパルアナリストDan Bieler)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。