本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、シスコシステムズの鈴木和洋 代表執行役員会長と、富士通の今井良輔 本部長代理の発言を紹介する。
「今と新しい未来をつなぐ架け橋になりたい」
(シスコシステムズ 鈴木和洋 代表執行役員会長)
シスコシステムズの鈴木和洋 代表執行役員会長
シスコシステムズが3月5日から9日まで、東京ミッドタウンにおいて「CISCO DIGITAL JAPAN DAYS」を開催している。鈴木氏の冒頭の発言は、初日のメディア内覧会のオープニングセレモニーで、同社のビジョンを強調したものである。
CISCO DIGITAL JAPAN DAYSは、シスコの技術によってネットワークの潜在能力を最大化することで、「つなぐ力」でより安心・安全でより良い社会を築く新たな可能性を秘めた未来の姿を提示するイベントだという。「未来の街」「未来の教育」「未来の働き方」「未来のスポーツとエンターテインメント」の4つの分野で、誰もが気軽に参加できる体験型ブースに加え、プログラミング体験ワークショップやワークスタイル変革セッションなど事前申し込み制のプログラムを用意している。
シスコでは2020年に向けて、また2020年以降の日本の未来社会を見据え、少子高齢化による労働力不足や教育格差、災害対策といった社会課題の解決に貢献するべく、特に、人々の「生活」「働き方」「娯楽」「学習」の可能性を拡げていく活動に注力している。
これまでも、2020年に向けてインバウンド需要がより一層高まる中、京都では街灯、防犯カメラ、デジタルサイネージ、交通データといったあらゆるものをつなげることで、観光の利便性や安全を向上させ、都市の利便性と効率の向上に貢献している。また、東京・日本橋ではカメラや人工知能(AI)、ネットワークシステム、救命アプリを駆使し、街全体で「救命の連鎖」をつなぐ日本初の共同実証実験を実施し、安心・安全な街づくりに寄与しているという。
初日のメディア内覧会のオープニングセレモニーでは、鈴木氏に加え、乃木坂46の松村沙友理さん、中田花奈さん、岩本蓮加さん、パラリンピック卓球選手でシスコ所属の渡邊剛氏が登壇し、トークセッションが行われた。
トークセッションの様子。司会者を除き、左から、パラリンピック卓球選手でシスコ所属の渡邊剛氏、乃木坂46の松村沙友理さん、中田花奈さん、岩本蓮加さん、鈴木氏
「つなぐ」をテーマにしたトークでは、乃木坂46の松村さんが「技術を活用して、ライブに来られない方々とも幅広くつながるようになればいい」、渡邊氏も「障がいを持つ方々には技術を活用してつながり、社会とつながる喜びを知ってほしい」との意見を述べた。
また、質疑応答では、乃木坂46へ「シスコという会社を以前から知っていたか」との質問も。これに対し、松村さんは「以前は知らなかったが、今回やっておられることを知ったので、新しい技術をライブなどで活用していきたい」と答えた。
シスコがこうした一般向けのイベントを開くことは、これまで殆どなかった。その意味では、かねての課題だった一般での認知度向上に本気で取り組み始めた印象である。
CISCO DIGITAL JAPAN DAYSの様子(オープニング翌日の3/6午後に撮影)