2017年12月に携帯電話キャリア(MNO:Mobile Network Operator)への参入を決めた楽天(楽天モバイルネットワーク)は、2019年10月のサービス開始を目指し、ここにきてネットワークの構成などがはっきりしてきた。既存のMNOとは全く違う、IT側からの発想と先進的な仮想化ネットワークを採用したものになっている。
ネットワーク構成。仮想化とクラウド化により、専用ハードウェアを廃し、標準的な機器でネットワークが構成される
ネットワークはITのアジャイルや仮想化、クラウドなどを取り入れたものとなっている
今までMNOのネットワークといえば、特注の機器で構成されることから、ハードウェアコストが非常にかかるものだった。しかし、楽天が目指す携帯電話ネットワークは、現在多くの企業が利用しているITインフラのクラウド、オープンソフトウェア、仮想化技術を利用したものとなる。
既存のMNOには、2G、3G、4Gと、これまで投資していたレガシーなハードウェアのネットワークが存在する。また、通信キャリアのハードウェアは、品質や信頼性などの面からカスタムハードウェアが利用されていることがほとんどだった。今では携帯電話の利用方法がデータ通信中心になり、音声通話さえもデジタルデータとして扱われるようになり、ITで標準的に利用されているx86サーバが多く利用されてきている。
楽天モバイルネットワークは、同社自体が新設のため、既存のレガシーシステムが存せず、最新のネットワークシステムが構築できる。また、目前に5Gシステムの導入が迫っているため、5Gベースのネットワーク構成を4Gに適応してネットワークを構成できる。つまり、5Gを前提に4Gネットワークを構築することになる。
その最大の特徴といえるのは、多くの機能を既存キャリアのように専用ハードウェアで実現するのではなく、仮想化を利用したソフトウェアで実現しようとしている点だ。例えば、基地局に関しても、vRAN(virtualized Radio Access Network:仮想化無線ネットワーク)を採用することで、アンテナとRRU(Remote Radio Unit:リモートラジオユニット)、BBU(Base Band Unit)を分離して、BBUをエッジサーバ上でソフトウェアによる仮想化で実現する。これにより、基地局の1台のコストは大きく下がり、ハードウェアとしてもコンパクトになるため、設置場所に対する負荷が少ない(物理的に重量が軽い)。