業務システムの利用率を向上--UX改善ツール「WalkMe」が国内展開を本格化

藤本和彦 (編集部)

2019-03-20 07:00

 デジタル変革の必要性が叫ばれる中、企業内にはERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客関係管理)、HRM(人事労務管理)など、さまざまなシステムであふれかえっている。大企業ともなると300種以上の業務アプリが稼働しているという。「これでは従業員が圧倒されてしまう」とWalkMeの共同創業者で社長のRephael Sweary氏は話す。

 実際、システムの操作方法が分からなかったり、データの入力に抜け漏れや誤りがあったりすることで、業務効率の低下が問題となっている。こうした問題に対処するため、システム担当者は問い合わせ対応やマニュアル作成、トレーニング実施といったサポート業務に時間を取られているという。「問題を解決するためのテクノロジが、逆に問題を引き起こしている状態だ」と指摘する。

WalkMeの共同創業者で社長のRephael Sweary氏
WalkMeの共同創業者で社長のRephael Sweary氏

 テクノロジをうまく使いこなせれば、確実に成果を上げることができる。ただ、デジタル技術は目まぐるしく変化する一方で、利用者側は学ぶのに一定の時間がかかる。多くのシステム導入では、その点が無視されてしまっているのだという。

 同社は2011年に創業の新興企業。米国に拠点を置き、世界35以上の国と地域に約2000社の顧客を持つ。社名と同じ名称のユーザーエクスペリエンス(UX)改善ツール「WalkMe」を開発する。同社では、デジタル技術の利用促進のためのプラットフォームとして「デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)」と呼んでいる。ウェブシステムの操作支援や入力支援を通じて、システムの利用率の向上を目指している。

 2019年2月には、大手米国企業の日本進出を支援するベンチャーキャピタル、ジャパン・クラウド・コンピューティングとの合弁企業として日本法人の設立を発表している。日本市場に向けたサービス提供を本格化させ、日本企業のデジタル変革を支援していくとしている。日立ソリューションズが販売代理店を務めている。

 WalkMeは、吹き出し表示などのガイダンス機能でウェブシステムの操作手順を視覚的に教えてくれるプラットフォームだ。システムを変更することなく、ブラウザ上に操作指示を重ねて表示させられる。入力内容に応じて動的に表示を切り替えたり、入力データを自動でチェックしたりする機能も備える。「カーナビゲーションシステムのように、次から次へとどうしたらいいかを教えてくれる」(Sweary氏)

インサイト、ガイダンス、エンゲージメント、オートメーションの各機能で構成される
インサイト、ガイダンス、エンゲージメント、オートメーションの各機能で構成される
インサイト機能では、ウェブアプリケーションの利用率を可視化することができる
インサイト機能では、ウェブアプリケーションの利用率を可視化することができる

 システムのトラブルや利用状況をグラフで可視化するインサイト機能も搭載する。利用者の操作内容を機械学習させることで、システムの問題点を洗い出し、どういった改善が必要なのかを分析できるようにしている。ウェブページを離れようとしたタイミングで利用を喚起するメッセージを表示するなど、システム離れを防止するエンゲージメント機能も備える。また、オートメーション機能も組み込まれており、チャットボットなどと組み合わせることで、データの自動入力や画面操作の自動化も可能だ。

 国内では、住友商事が先行事例として公表されている。SuccessFactorsの操作補助としてWalkMeを導入しており、ユーザー向けトレーニングやマニュアル作成の負担が大幅に軽減されたとしている。

 「日本は世界第2位の法人向けソフトウェア市場だ。日本市場のポテンシャルは非常に高く、2019年中に営業活動を強化していく」とSweary氏は強調した。

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