長野県と富士通は共同で実施した行政事務を効率化するための共同実証の結果を発表した。同実証は、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)とAI(人工知能)を活用し、2018年7月1日~2019年2月28日に行われた。富士通のRPAツール「FUJITSU Software Interdevelop Axelute(Axelute)およびAI技術を搭載した公共工事の設計・積算業務支援ソフト「FUJITSU 公共ソリューション SuperCALS ESTIMA V6(ESTIMA)」を利用した。
RPAツール「Axelute」を使った実証では、熱水費集計・支払、給与事務・戻入通知作成、小中高校の体力測定結果の集計とフィードバックの3業務に適用された。
光熱水費集計・支払業務では、月間208分要する職員の作業時間を24分に短縮し、88%削減できることを実証した。これにより、年間2208分(約37時間)の削減効果が見込まれる。また、給与事務・戻入通知作成業務では、月間401分要する職員の作業時間を77分に短縮し、81%削減できることを実証した。これにより、年間3888分(約65時間)の削減効果が見込まれる。
小中高校の体力測定結果の集計とフィードバックでは、年間1万241分(約171時間)要する職員の作業時間を2160分(36時間)に短縮し、79%削減できることを実証した。これにより、年間8081分(約135時間)の削減効果が見込まれる。
AIソリューション「ESTIMA」を使った実証は、公共工事に必要となる材料や機材および数量を算出し、工事費総額の積算および設計書の作成などを行う業務に適用された。2017年度の道路改良工事設計書2105件(作成途中を含む)に対して「ESTIMA」に搭載したAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を活用した自動検知機能を適用したところ、誤りを含む設計書24件を検知することができた。
長野県はRPAについて、今回の実証で効果が確認された業務を中心に2019度以降の本格導入を予定している。また、AIについても2019年度以降の本格導入を目指し、さらなる検知精度の向上に取り組む。