富士通と富士通アドバンストエンジニアリングは3月11日、2016年4月の熊本地震で発生した熊本城飯田丸五階櫓の崩落石材123個について、画像処理技術を用いて崩落前の位置を特定する実証実験を完了したと発表した。
崩落後の熊本城飯田丸五階櫓(熊本城総合事務所提供)
同実証は、石材位置特定システムを活用し2018年11月から約1カ月実施され、80%以上の精度で作業時間を大幅に短縮できることを確認した。同システムは、富士通、富士通研究所が開発した高速部分画像検索技術、富士通アドバンストエンジニアリングが富士通研究所と共同開発した画像最適化技術をベースに開発したもの。
実証作業は、実際に崩落があった熊本城飯田丸五階櫓の石垣で、既に熊本市が特定した123個の石材を対象に行われた。画像から石材の部分のみの切り出しや、石材や石垣の表面の明るさなどの特徴を際立たせる画像最適化技術を適用した。これにより検索の精度を高め、その後1つの石材全体もしくは部分的に一致する画像を抽出する高速部分画像検索技術によって、崩落後の石材が崩落前の石垣のどの位置のものかを検証していった。この類似度の高い画像を特定する一連の流れを繰り返し行うことで、精度の高い位置特定を進めた。
実証実験のイメージ
その結果、最終的に、1日で101個の石材の正確な位置を特定することができ、82.1%(101/123個)と高い精度を得ることができた。今後両社は、本格化する熊本城復旧作業の効率化支援に向けて本技術の精度をさらに高めていく。また、他の文化財復旧支援への適用を進め、文化財復旧支援ソリューションとして2019年度中の商品化を目指す。