ソフトウェア第三者保守サービスの“価格破壊”は広がるか

松岡功

2019-03-28 07:00

 本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、米Rimini Streetが提供する「ソフトウェア第三者保守サービス」である。

Rimini Streetがソフト保守サービスで仕掛けた“価格破壊”

 Rimini Streetの日本法人である日本リミニストリートが先頃、無添加化粧品や健康食品を手掛けるファンケルが使用しているSAP ERP 6.0の保守サポートを、Rimini Streetが提供する第三者保守サービスに切り替えたことを発表した。

 これにより、ファンケルは現在安定して使用中のSAPアプリケーションを15年にわたって運用できるようになるとともに、年間保守サポート費用を従来の半額に抑えられるようになるという。

 このサービス導入事例の詳しい内容については、日本リミニストリートの発表資料をご覧いただくとして、この機会にRimini Streetが手掛けるエンタープライズソフトの第三者保守サービスについて取り上げてみたい。

 第三者保守サービスとは、製品メーカーではない第三者の業者が行う保守サービスのことをいう。IT分野ではハードウェアのこうした業者は多いが、エンタープライズソフトは、例えばOracleやSAPといったメーカーが保守サービスも手掛けている。そこに“価格破壊”をもって参入したのがRimini Streetである。

 Rimini Streetは米ネバダ州ラスベガスで2005年に創業したソフトウェア第三者保守サービス業者の草分けで、2017年10月にはこの業種で初めて株式公開も果たした。現在、サービスの対象としているのは、OracleやSAPのERPソフトを中心として表1に示す製品である。現在、世界16カ国でビジネスを展開しており、顧客数は1800社を超えた。

表1:Rimini Streetのソフト保守サービスの対象製品(出典:日本リミニストリート)
表1:Rimini Streetのソフト保守サービスの対象製品(出典:日本リミニストリート)

 最大の特徴は、ユーザー企業がエンタープライズソフトベンダーに支払っている年間の保守料金を半額に設定していることだ。さらに、ベンダーが提供するソフトを10年以上使い続けると、年間保守料金のほかにアップグレードやカスタマイズの保守、そして保守要員の費用がかさんでくる。これに対し、Rimini Streetのサービスを同じ期間利用すれば、全体で最大90%の費用削減を図ることができるという。

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