企業情報管理(Enterprise Information Management:EIM)大手でカナダに本拠地を置くOpenTextは4月16~17日、シンガポールでアジア地域向けの年次イベント「Enterprise World Asia」を開催した。基調講演に登壇した最高経営責任者(CEO)兼最高技術責任者(CTO)のMark Barrenechea氏は、ビジネスプロセス管理の統合基幹業務システム(ERP)に加えて、情報管理のEIMを活用することで、情報から優位性を得られると強調した。
ERPからEIMへ
「情報を管理するEIMベンダーにとって、これほどエキサイティングな時代はない」とBarrenechea氏はいう。企業はこれまで、ERPの導入によりプロセス面でのメリットを享受してきたが、現在求められているのは情報の活用だ。「今後10年は情報から優位性を得ることが重要になる。EIMはそのプラットフォームになる」(Barrenechea氏)
Barrenechea氏のメッセージは「今こそEIMで情報基盤を見直すべき」というものだ。メインフレーム、クライアント/サーバーと技術が進化し、現在はデジタルの時代である。その後には、コグニティブ(人工知能と機械学習)の世界が広がる。「量子コンピューターなどの動向も注視すべきだ」(同氏)と話す。数Gbpsという高速・高容量・低遅延を特徴とする第5世代移動体通信システム(5G)の整備も着々と進んでいる。
こうした状況を、Barrenechea氏は「新しい技術が次々とやってくる津波」と形容した。その津波の中で、企業は「ディスラプター(破壊者)のように考える必要がある。プロセスを改善するだけではもはや不十分だ」(Barrenechea氏)という。
OpenTextは、「この変化を切り抜けるための支援ができる」とし、「インテリジェントなコネクテッドエンタープライズ」をビジョンとして掲げる。オートメーションや人工知能(AI)、API、データ管理などの機能を備えるインテリジェントなプラットフォーム上で、あらゆるデータソースと接続することで情報を活用できる。EIMの他にも、ビジネスネットワークの「OpenText Business Network」、AIと分析の「Magellan」、開発の「OpenText AppWorks」、サービスとしてのEIM「OpenText OT2(以下、OT2)」など、オンプレミスとクラウドサービスの両方をサポートする。
実際、OpenTextの技術は市場の評価も受けている。Gartnerはコンテンツサービスプラットフォーム市場で、IDCはサプライチェーンコマースネットワークでそれぞれOpenTextをリーダーと位置付けている、とBarrenechea氏は胸を張った。
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