DNP、遠隔接客支援サービスを提供--販売員不足の解消につなげる

大場みのり (編集部)

2019-05-20 14:41

 大日本印刷(DNP)は5月20日、コンタクトセンターと店舗をビデオ通話でつなぎ、オペレーターが店頭の販売員に代わって商品やサービスを説明する「DNP遠隔接客支援サービス」の提供を開始すると発表した。小売業界で課題になっている販売員不足の解消につなげる狙いだ。

 近年、労働人口の減少などにより、小売業界では店舗で接客する販売員の確保が難しくなっている。それに伴い、店舗では省人化・無人化の試みが進められているが、同時に接客の質を保ちながら、顧客に商品やサービスの内容を詳しく伝えることで、販売や契約につなげたいという要望があった。

 そこで同社は、コンタクトセンターと店舗をタブレット端末でつなぎ、映像や音声を通してオペレーターが接客対応するためのサービスを開発。サービスの特徴は、以下の3つである。

1. 資料をタブレット端末に表示しながら接客

 オペレーターの映像や音声による説明だけでなく、PowerPointなどの資料を端末に映し出すことができる。オペレーターはその資料に書き込めるため、説明している部分や強調したいポイントを来店客に伝えることが可能。また、来店客は口頭での質問に加え、画面上の資料で興味や疑問がある部分を長押しすることで、オペレーターから詳しい説明を受けられる仕組みになっている。

2. 店舗同士でのビデオ通話も可能

 コンタクトセンターにいるオペレーターは、各店舗のタブレット端末を通して、来店客の問い合わせに対応する。コンタクトセンターと店舗に加え、店舗間での通信も可能。来店客が少ない店舗の販売員が混雑している店舗の接客を手助けすることで、業務負荷の標準化や機会損失の防止が期待される。現時点では、オペレーターと店舗販売員における業務のすみ分けはないという。

3. さまざまな企業に対応可能な技術やノウハウを保有

 DNPは長年、小売業やメーカーの販売促進やコンタクトセンターの業務を代行するBPO(Business Process Outsourcing)サービスを手掛けてきた。そこで得た技術やノウハウを生かし、同社はオペレーターに対する商品やサービスの理解促進、説明スキルの育成、各種販促ツールの企画・制作、店舗開発などを一貫して提供できるとしている。これにより、従来は小売企業が行っていた販売員育成などの負荷を軽減されるとみられる。

「DNP遠隔接客支援サービス」の店頭イメージ(出典:DNP)
「DNP遠隔接客支援サービス」の店頭イメージ(出典:DNP)

 価格に関しては、10店舗にビデオ通話システムを導入し、1商品について対応できるオペレーターを1人設置した場合、初期費用が230万円から、運用費が月額200万円から。店舗や商品、オペレーターの数が増加するにつれて追加費用が発生する。

 DNPは、家電量販店や保険の取り扱い窓口、旅行代理店など、商品やサービスの購入を検討する際に詳細な説明が必要とされる小売・流通企業に向けて同サービスを提供し、2023年までに17億円の売り上げを目指す。また訪日外国人に向けて、多言語対応機能も開発していくという。

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