日本マイクロソフトは、5月29~30日に開催した開発者向けイベント「de:code 2019」で複合現実(MR)ヘッドセット「HoloLens」の最新モデル(以下、HoloLens 2)を国内初披露した。同イベントでは、15分ほどながら新モデルを体験する機会を得たのでレポートしてみたい。
HoloLensは、2015年1月に初代モデルが発表された。これまで開発者やパートナー企業などが、MRを利用した現場作業向けあるいは現実空間と3Dホログラフィックを重ね合わせるプロモーション向けといったさまざまなアプリケーションを開発している。日本でのパートナー企業は、2019年5月時点で26社を数える。
HoloLens 2を体験した
デバイスとしては、4年ぶりにリニューアルしたHoloLens 2の主な改良点は、(1)装着性、(2)操作性、(3)視野角――の3つ。まず装着性だが、初代モデルはヘッドセットを頭部全体で支える構造だったのに対し、HoloLens 2では前頭部と後頭部の2カ所で支える構造になった。重量感は初代モデルとさほど変わらないが、2カ所で支える構造になったことで、装着時における頭部の動きやすさが向上したと感じる。担当者によれば、新モデルでは、装着時における頭部各所への重量配分を大幅に見直したとのことだ。
2点目の操作性は、新モデルで追加された「アイトラッキング(視線追跡)」機能がポイントになる。初代モデルでは、現実空間に重ね合わせる3Dホログラフィックの配置具合によっては、頭部や体を動かして、対象の3Dホログラフィックに焦点を合わせる必要があった。一方、HoloLens 2では装着時に、ディスプレーのセンサーで視線を検知できるようにするキャリブレーションを行えば、以降は視線の向きを変えるだけ済む。特に面積が狭い場所で利用するようなシーンでは、周囲の構造物とデバイスとの接触などをあまり気にしないでよくなるだろう。また、手や指で3Dホログラフィックを操作(拡大縮小や方向転換、実行など)する際の操作性も向上しており、初代モデルに比べてよりスムーズに3Dホログラフィックを動かせる印象を受けた。
3つ目の視野角に関しては、HoloLens 2では初代モデルに比べて2倍ほど拡大し、ディスプレーに投影される3Dホログラフィックの全体像を認識しやすくなった。今回の体験では、海岸線に風車を配置した風景、タービン装置、空間を舞う鳥や宝石の3種類の3Dホログラフィックが用いられ、特に風景やタービン装置の全体を一目でとらえやすくなった印象だ。なお、3Dホログラフィックの一部を集中的に見る場合の視認性は、初代モデルとあまり変わらない感じである。
この他にも、HoloLens 2ではディスプレー部が持ち上がるフリップアップバイザー構造に変更され、眼鏡をかけた状態でも使いやすくなったり、Windows Helloによる虹彩認証でログインしたりできるなど、細かい改良が施されている。
現時点で発表されているHoloLens 2の価格は、デバイス単体が3500ドル、期間限定で使いたい場合のレンタル形式が月額125ドル(Dynamics 365 Remote Assistの月額費用を含む)で、2019年中の発売を予定。日本マイクロソフトの担当者によれば、米国や日本などで同時発売を目指しているという。